実説 城谷怪談「消えた兄 後編」
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ナレーター:
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城谷 歩
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著者:
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城谷 歩
このコンテンツについて
老若男女皆が楽しめる怪談語りを目指し、落語や講談にも似た独特な語り節、ノスタルジックな世界観に定評がある城谷歩による怪談。
幼い頃から自身でも不思議な怪体験を数多く持ち、更に聞き集めた種々の実体験を含めるとその数は数百にも及ぶ。
そうした現代の実話怪談、奇談の中から選りすぐりをお届けする。
内容紹介
「消えた兄 後編」(24分)
Sさんにも影が見えた。異様な影はゆらゆらと揺らめきながら、2階の寝室に駆け戻っていく兄を追いかけていくようにしてスッと消えた。
あまりの騒ぎに同居していた両親、祖父母共に寝室に集まると兄はベッドで気絶していた。
母が正気を取り戻させようと固く絞ったタオルを額に当てるとハッと目を開けた兄が「来る!来る!」と絶叫して再び気絶。熱もないし呼吸も落ち着いているから様子を見ようと、その場はいったん落ち着きましたが、翌朝兄は何一つ覚えていなかったそうだ。
そうしてこの日からついに二人きりでいても兄は別人のように冷たい人になってしまったという。あの影が原因していて、その影がいたる君とかかわりがあるだろうことは更に後年になって思うところが出てきたようだ。©2020 Wataru shirotani