巌谷小波童話集 短話編 2
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ナレーター:
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パンローリング
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著者:
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巌谷 小波
このコンテンツについて
お子様が集中して聴けるよう、お話は1話10分程度。プロとして活躍する朗読家や声優、ナレーター達が感情豊かに読み上げます。
巌谷小波は文部省唱歌「ふじの山」や童謡「浦島太郎」の作詞者としても知られている童話作家です。今日有名な『桃太郎』や『花咲爺』などの民話や英雄譚の多くは彼の手によって再生されて、読者の手に届いたもので、日本近代児童文学の開拓者というにふさわしい業績を上げている作家でもあります。その後には、創作童話も作り上げて、作家としての地位を確立すると共に、内外の昔話や名作をお伽噺として平易に書き改める仕事のほか、童話の口演や戯曲化も試みていきました。
「砂の宮」
太郎は毎日お庭の隅にある砂場で毎日遊んでいましたが、あまりに砂遊びが面白くて、夕方のご飯に呼びに来ても、二三度呼びに行かなければ、帰って来ない程でした。
ある日、太郎は砂の山にトンネルを掘って、汽車を通して遊んでいました。そのトンネルは次の日まで置いておくことにしましたが、犬が壊したりしないか、雨でも降って崩れはしまいかと、気が気ではありません。
とうとう、床から抜け出して砂場に向かった太郎でしたが、そこでトンネルの側に、背の丈が三寸もない小人を見つけたのでした……
「兎の三太郎」
三太郎は狩りが好きでしたが、あまり上手ではありませんでした。ある日も鉄砲を持って狩りに出掛けましたが、一匹も獲物は捕れません。そのうちにくたびれて、切り株に寄りかかってタバコを吸っていましたが、その時、後ろの方でドウンという音がしました。
三太郎が振り向くと、片足を撃たれた兎がびっこを引いていました。さすがにこれなら逃すまいと、三太郎が鉄砲を向けると、兎は手を合わせて命乞いをしました。
「怪我をしたお父さんにおくすりを持って行かせてください。おくすりさえ届ければ、私はまたここに戻って来て撃たれてあげますから」
三太郎は涙ながらに訴える兎が可哀想になって、行かせてやったのですが……
●収録しているお話(一部)●
猿の腕時計
蜆の龍宮行
たんぽぽ
天人の足跡
虎の明神
つばくろ太郎
兎の三太郎
雪の山の神
白鳥の飛行機
龍の迷子
兎の渡し
猫のお礼
笑い小僧
コンコン小山
ワンワン太鼓
<巌谷小波(いわや さざなみ)>
児童文学者、小説家、俳人。本名季雄 (すえお) 。 1870年東京生まれ。1887年、尾崎紅葉らの硯友社に参加し、「文壇の少年屋」といわれるほど少年少女の純愛をテーマにした小説を多く書いたが、『こがね丸』 (1891) 以後は児童文学に専心。 95年創刊の『少年世界』の主筆として毎号作品を発表、「お伽噺 (とぎばなし) 」の新分野を開拓するとともに後進の指導にもあたり、明治の児童文学界に君臨した。(c)2017 Pan Rolling