『或日の大石内蔵助』のカバーアート

或日の大石内蔵助

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或日の大石内蔵助

著者: 芥川 龍之介
ナレーター: 遠藤 みやこ
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このコンテンツについて

代々江戸城の茶室を管理し、将軍や大名に茶の接待をする「奥坊主」と呼ばれる職を務めた家柄に育ち、文芸や芸事への興味・関心を早くから持っていた芥川龍之介。
才気にあふれ、世話好きな性格は周りの人々を惹きつけ、たくさん悩みながらもよく笑い、よくしゃべる人だったそうです。
そんな芥川は、東京帝国大学に入学した翌年、高校の同級だった久米正雄らと共に第三次「新思潮」を創刊し、小説や翻訳を発表しました。
次いで第四次「新思潮」を創刊の際に掲載した『鼻』が夏目漱石に認められ、文壇に登ることとなりました。
その後新聞社に入社し、記者としてではなく専業作家として意欲的に執筆活動を続けました。
芥川は、漱石や森鴎外から文体や表現の影響を受けたり、キリシタンもの、江戸を舞台にしたものなど題材に応じて文体を変えたりと、意識的な小説の書き方をしていました。
また、鈴木三重吉により創刊された児童雑誌「赤い鳥」には、初となる童話作品『蜘蛛の糸』を発表、その後も同雑誌を中心に童話作品を相次いで発表し、幅広く作品を世に残しています。


立てきった障子にはうららかな日の光がさして、嵯峨たる老木の梅の影が、何間かの明みを、右の端から左の端まで画の如く鮮に領している。元浅野内匠頭家来、当時細川家に御預り中の大石内蔵助良雄は、その障子を後にして、端然と膝を重ねたまま、さっきから書見に余念がない。書物は恐らく、細川家の家臣の一人が借してくれた三国誌の中の一冊であろう。
九人一つ座敷にいる中で、片岡源五右衛門は、今し方厠へ立った。早水藤左衛門は、下の間へ話しに行って、未にここへ帰らない。あとには、吉田忠左衛門、原惣右衛門、間瀬久太夫、小野寺十内、堀部弥兵衛、間喜兵衛の六人が、障子にさしている日影も忘れたように、あるいは書見に耽ったり、あるいは消息を認めたりしている。その六人が六人とも、五十歳以上の老人ばかり揃っていたせいか、まだ春の浅い座敷の中は、肌寒いばかりにもの静である。時たま、しわぶきの声をさせるものがあっても、それは、かすかに漂っている墨の匂を動かすほどの音さえ立てない……©2022 PanRolling
世界文学 歴史小説

或日の大石内蔵助に寄せられたリスナーの声

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ナレーション
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勝手な賞賛の声


芥川龍之介の作品を何作か聴いて、風景の描写が素敵だなと思う事が多いです。周りが勝手に盛りあがっていくせいで、自分の心はどんどん冷めていくというのは現代でも共感できる人がたくさんいそうですね。

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楽しく聞かせてもらいました

作品を楽しく聞かせてもらいました。作品の世界に浸ることができましたし、堪能できました。

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英雄の本音

討ち入り後、細川家にお預けになっているときに過ごす大石蔵之介の心境を描いている。無論、芥川の推測だが、そんなことも思っただろうなと共感できる。TVドラマではあまり描かれないシーン。英雄と褒めそやかされ、遊興三昧も敵の目を欺く見事な芝居と褒め称えられる。いや、あれは完全に芝居ってわけじゃなくて、それなりに楽しんでいた…
さもあろう。そんな気持ちもあったと思う。

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本当に理解されるとは

本人の意思とは無関係に周りの人間が評価をしてしまう事はよくある事ですよね。

人は無意識のうちに、他人にこうあって欲しいと思ってしまうものなのかもしれません。

蔵助自身もその葛藤に悩まされます。
これを聴くと本当に理解される事のありがたさがわかるかもしれません。

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誰にもわかってもらえない

討入りを賞賛されるが、大石内蔵助自身には賞賛される謂れはないという思いがある。
でもそれを特に否定もしない。
「或日の」と大石内蔵助の1日を切り取ったストーリーが面白い。

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日常の中の哀愁

なんとも言えない哀愁漂う感じで、最後の方は芥川本人と重ねてたのかな?

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