豊島与志雄童話全集――エミリアンの旅
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ナレーター:
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でじじ
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著者:
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豊島 与志雄
このコンテンツについて
<作品紹介>
豊島与志雄は、「レ・ミゼラブル」の翻訳によって、創作家よりは、翻訳家としての一面がよく知られていますが、その翻訳は名訳として未だに読まれ続けています。
彼のもう一つの顔は、児童文学の名手であり、沢山の童話を書き残しています。彼は妻を亡くした後、残された幼い子ども達のために童話を書き上げました。
その作品の数々には、子供の感性で見つめ直した原風景や、優しさやあたたかさに満ち溢れた人間像が惜しみなく描かれています。
どこか懐かしく、そしてあたたかい、豊島童話の世界に親子で触れてみませんか?
<あらすじ>
「エミリアンの旅」
流浪の民であるロマ族の少年エミリアンは、両親と死に別れてたった一人で方々を渡り歩いていた。この物語はエミリアンが旅の中で体験したことを記したものである。
一、「泥棒に出会った話」
ある時エミリアンは泊まった宿屋で三人の泥棒に襲われてしまう。ピストルを突き付けられながらも、エミリアンは動じずに泥棒たちを「下手くそ」と罵り、「世界一の泥棒」とはどういうものかを話し出した。
二、「夜鳴き鵞鳥の話」
それから数日後、エミリアンがフランス南部のある村を通りかかった時、村人が集まって大騒ぎしていた。三日前に村中の鵞鳥が一斉に鳴きだしそれが今日も続いているのだという。村人たちは悪魔でも来たのではないかと不安になるのだが……
他にも「三人の盲人(目の見えない人)と道化の話」「悪魔をつれて逃げる話」「肥った男とその羊の話」など。
「象のワンヤン」
インドの町々を渡り歩いているサーカスの中に、大きな象とワンヤンという少年がいた。 ワンヤンは象が好きで、象もワンヤンを好きで仲良く暮らしていた。だが、ある日、サーカスの親方が急病で亡くなってしまうと、サーカスの人々は喧嘩を始めてまとまりがつかなくなって、散り散りバラバラになってしまい、ワンヤンと象だけが残されてしまった。
お金も何もなく、ワンヤンが寝る敷物も、象の食べ物も全くなくなって困っていたワンヤンの前に、ある男がやって来て、いい話を持って来たとワンヤンに持ち掛ける。新しく小屋の持ち主になったというその男は、象を買い取ってやろうというのだった。
象と別れるのが嫌だったワンヤンは、星空の下、象と一緒に逃げ出したのだが……
<豊島与志雄>
1890‐1955。小説家、翻訳家、児童文学作家、福岡県生まれ。東京帝国大学仏文科卒業。在学中の1914年、第三次『新思潮』創刊号に『湖水と彼等』を発表。続いて同年『帝国文学』に発表した『彼と彼の叔父』が中村星湖の目に留まり、文壇に登場。以後、数多くの小説、童話を発表した。代表的小説集に『生あらば』『野ざらし』、童話集に『夢の卵』『エミリアンの旅』などがある。翻訳は他にロマン・ロランの『ジャン・クリストフ』などがある。