鈴木三重吉童話全集——かなりや物語
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ナレーター:
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でじじ
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著者:
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鈴木 三重吉
このコンテンツについて
<作品紹介>
鈴木三重吉は日本の児童文化運動の父として知られています。
彼は、子供の感性を育むためには、本当に良い作品を届けなければならないという哲学のもとで、童話と童謡の雑誌「赤い鳥」を創刊しました。「赤い鳥」には多くの作家、作詞家、作曲家、画家が賛同し、参加したのみならず、彼らが世に出るきっかけとなりました。
三重吉自身も創作童話のみならず、世界各国の物語を児童向けの童話として、沢山の作品を発表しています。
千差万別の人間模様を描いた童話集。是非親子で一緒に触れてみてはいかがでしょうか?
「かなりや物語」
むかしむかしある町にでぶでぶとおふとりになったおどけ好きな公爵がいました。その太り方と言ったら、自分で歩くことも出来ない程でした。
公爵には一人の公子がいました。この公子は父親とはあべこべに、ぎすぎすと痩せていました。
公子が立派な若者に育った時、なぜか公子はお嫁を貰う話をいつも嫌がりました。さすがに温厚な公爵も、これにはたまらず、遂に堪忍袋の緒が切れました。
そして、ある日なぜお嫁を貰わないのかと問い詰めました。困った公子はこれ以上あれこれ言われないように、仕方なくお嫁を貰うことを決めたのでした。
ですがある日、理想のお姫さまを夢に見た公子はその姫を探し出すために、旅に出るのですが……
「どろぼう」
むかしある村で貧乏にあえいでいた商人が、遠いよその土地へでて二十年働いて、ようやくまとまった財産を作りました。これから先は村に帰って、のびのびと一生を送ろうと思って、財産をすっかりお金に換えました。
しかし、そのまま持って歩くとどろぼうに襲われるのが怖いので、色々と宝石を買えるだけ買い取り、自分はわざと汚い着物を着て、宝石を入れた小箱を肌身につけてその土地を立って出ました。
そして、何十日目かに自分の村から少し離れたある町に着きました。そこから自分の村までの道に恐ろしいどろぼうがいると聞いた商人は、その町で一番信頼を置ける店にいったん小箱を預けて、何人か付き添いを連れた上で自分の村から戻って来たのですが……
<収録作品>
かなりや物語
どろぼう
赤づきん
よつぱらひ
星のおつげ
頬のこぶ
やどなし犬
わるい狐
黒い騎士
二人出ろ
ばか
オシの王妃
チャールズ・リー
ぶつぶつ屋
世界のはじまり
明治大帝のお話
いたづらもの
金の蛇
まよひ子王子
ぽっぽのお手帳
人くひ鬼
従卒イワン
ぐづぐづしてるとこのとおり
「年」の話
三りん車
おみやげ
ばち
おおんおんおん
二人の蛙
<鈴木三重吉(すずき・みえきち)>
小説家・童話作家。1882年、広島の生まれ。
東京帝国大学において夏目漱石に師事した後、その門下となる。短編小説「千鳥」を「ホトトギス」に発表して認められ、作家としてデビューした。
その後も浪漫的・抒情的な作品を書き注目を受けたが,しだいに童話への関心を深め1916年童話集「湖水の女」を出し、1918年、児童雑誌「赤い鳥」を創刊。坪田譲治、新美南吉らの童話作家を育てた。
代表作には小説「小鳥の巣」「桑の実」「世界童話集」など。
©2018 Pan Rolling