『The Vanishing Middle Class』のカバーアート

The Vanishing Middle Class

Prejudice and Power in a Dual Economy

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The Vanishing Middle Class

著者: Peter Temin
ナレーター: Stephen R. Thorne
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このコンテンツについて

The United States is becoming a nation of rich and poor, with few families in the middle. In this book, MIT economist Peter Temin offers an illuminating way to look at the vanishing middle class. Temin argues that American history and politics, particularly slavery and its aftermath, play an important part in the widening gap between rich and poor. Temin employs a well-known, simple model of a dual economy to examine the dynamics of the rich/poor divide in America and outlines ways to work toward greater equality so that America will no longer have one economy for the rich and one for the poor.

Many poorer Americans live in conditions resembling those of a developing country - substandard education, dilapidated housing, and few stable employment opportunities. And although almost half of black Americans are poor, most poor people are not black. Conservative white politicians still appeal to the racism of poor white voters to get support for policies that harm low-income people as a whole, casting recipients of social programs as the other - black, Latino, not like "us". Moreover, politicians use mass incarceration as a tool to keep black and Latino Americans from participating fully in society. Money goes to a vast entrenched prison system rather than to education. In the dual justice system, the rich pay fines and the poor go to jail.

©2017 Peter Temin (P)2017 Blackstone Audio, Inc.
人種差別・差別 政治学 社会階級・経済格差 経済 経済情勢

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二重構造は経済、社会、司法、教育システムだけでなくインフラにも

 米国は富裕層と貧困層に分裂した国になりつつあり、その中間は消滅してしまった、という内容。ピケティの議論(r>gの法則)の延長線上に、人種や教育問題をかぶせましたって感じでしたかね。ニクソンからレーガンにかけてのニューフェデラリズムは要するに「政府は問題を解決なんかしないし、むしろ政府それ自体が問題なのだ」という立場だったわけですが、その結果はどうだったのか?とリベラルの立場から物申してます、みたいな。

 MITの経済史の研究者である著者のピーター・テミン(Peter Temin)は、中間層の消滅はアメリカの歴史と政治、特に奴隷制とその余波が、金持ちと貧乏人の間のギャップの拡大に大きな影響を与えた、と主張。南北戦争後に600万人の黒人奴隷が南部から北部に移住したのと、現在のメキシコ国境からのラテン系の住民たちの移動を対比したりしているのは歴史家視点でしょうか。

 多くの貧しいアメリカ人は、発展途上国の状況に似た状況で暮らしているとして、一章からルイスの二重モデルを使って分析しているのには驚愕。だって、ルイスモデルは近代化されている部門と遅れている部門の関係性など発展途上国の経済を分析する古いモデルなのに、それを応用するのか、と。なにせ60年以上も前の低開発国というか「二重経済」を分析するためのツールだったんですから(二重経済とは1つの国に2つの別々の経済部門があり、異なるレベルの開発、技術、および需要のパターンによって分割されている状態のこと。ちなみに、著者は二重になっているのは経済だけではなく、教育やインフラもそうなっている、と後半に展開していきます)。

 さらにインフラも二重だ、と。FTEセクター向けの州間高速道路と空港、および低賃金の人々向けの衰退する都心部の通り、橋、公共交通機関は対照的です。また、FTEセクターは税制の公営住宅に住んでおり、さらに低賃金層は教育債務の増加という二重の金融システムにも苦しんでいる公教育の問題に入っていきます。ここらへんはリンクしているというか、パットナムの『われらの子ども(Our Kids)』も紹介しながら進めます。

問題が発生しました。数分後にもう一度お試しください。

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