• 【遠野物語】其の五九 遠野の河童は赤い
    2025/06/02

    佐々木喜善の祖母が子供の頃に出会ったという、「胡桃の木の間から覗いてくる、全身真っ赤な子ども」の話。

    足跡の話同様に、短いながらも妙に印象に残る一遍です。

    大きく話が動いたりしないあたりが、かえって「日常に溶け込む異界」をリアルに感じさせます。

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  • 【遠野物語】其の五八 姥子淵の河童
    2025/05/29

    本文の中で「河童の伝承のある地域には、必ず『河童が馬を引きずり込もうとして失敗する話』もセットで残っている」と語られています。河童の存在が本当に一般的で、大勢が「ああ、あるよね」と思うようなものだったのを感じさせるお話です。

    当時の読者は、これに「うっかり・おっちょこちょい」のような印象を見出したのでしょうか。現代の価値観で見ると、なかなかずっしりしたものを感じるのですが。

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  • 【遠野物語】其の五七 河童の足跡
    2025/05/26

    河童の足跡について説明するだけの、とても短い話。

    短いながらぞわぞわとするのは、描写ばかりが細かくて、その現象の理由についての説明が一切ないためでしょう。

    この余白の大きさ、この「説明がないから物語が終わらない感じ」が、遠野物語」の特徴だと思います。

    妙に心に残る一遍です。

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  • 【遠野物語】其の五六 河童の赤子
    2025/05/22

    生まれてすぐの赤子を外に持ち出し、路上に放置して、去り際に「いや、捨てるくらいなら売るか?」と思って引き返す……一連の動きに、一切の容赦も良心もありません。なんとも後味の悪い話。

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  • 【遠野物語】其の五五 河童
    2025/05/19

    遠野といえば河童。

    ただし伝承には、ゲゲゲの鬼太郎的なキャラクターよりも、もう少し醜悪で汚らしい、人間から劣後するような「なにか」を思わせる口ぶりのものが多いようです。

    これは、河童が生まれる家の話。嫁が魅入られているのか、家が呪われているのか、それとももっと別の原因があるのか。この話のみでは、ちょっと判別ができません。

    ただ、とても忌み嫌われていた様子だけは分かります。

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  • 【遠野物語】其の五四 閉伊川の淵
    2025/05/15

    主人公の「ある男」の愚かさもさることながら、最後の長者の行動にずぅんと沈むような恐怖の余韻が残る一遍です。

    何の説明もなく、悪意だけが察せられる記録。

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  • 【遠野物語】其の五三 郭公と時鳥
    2025/05/12

    カッコウの姉と、ホトトギスの妹の話。

    寂しい、悲しい話ではあるのですが、個人的には妹の思い込みの激しさととんでもない衝動性に「どうしてそうなった??」と戸惑う気持ちのほうが強いです。

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  • 【遠野物語】其の五二 馬追鳥
    2025/05/08

    自分の財産を持たない階級の者が主人の財産を見失い、鳥になるまで探し求めることになった顛末がなんとも哀れな一遍です。「里で鳴いたら飢饉の前兆」という話にも、どうしようもない哀愁があります。

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