エピソード

  • 山本周五郎 「金五十両」
    2024/07/23

     騙され裏切られて無一文になり世を拗ね旅に出た男。うらぶれた身なりでどうにでもなれと振舞う男は、今まで出会ったことのない人達に出逢います。禍福はあざなえる縄の如しという言葉のように、金五十両を巡って人間の善と悪を目の当たりにする話です。

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    46 分
  • 山之口貘  「貧乏を売る」
    2024/07/19

     戦前戦後を通して創作を続けた沖縄出身の山之口貘の詩は、今も多くの人の心を捉えています。資産を得ることには無頓着=つまり貧乏で、なにも持たない一人の人間として作品を生む出したことが、時を越える普遍性を作品に与えたのかもしれません。そんな山之口の朗らかな貧乏ぶりがうかがえる作品です。

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    19 分
  • 小酒井不木 「血友病」
    2024/07/17

     国際的な医学博士で、探偵小説にも通じ江戸川乱歩を発掘した小酒井不木の短編です。老婆の往診に呼ばれた医者は、その老婆の家に古くから代々伝わる難病の話を聞かされます。医者は最新の医学でその病気を診断します。なぜ老婆は豹変し、この結末に至ったかの解釈を楽しんでください。

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    15 分
  • 山川方夫 「お守り」
    2024/07/11

     街で自分そっくりな男を見つけて驚きのあまり後をつけていくと、その男は自分の部屋に入っていきます。同じような姿形、同じような暮らしぶり、個が埋没して自分を失いそうになる時代に、自分であるためには自分だけのお守りが必要となってきます。1960年に発表され、欧米の雑誌にも翻訳掲載された短編です。

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    24 分
  • 島木健作 「黒猫」
    2024/07/06

     主人公は黒い野良猫が泰然と近所を徘徊する姿を目にします。そのうちに家のなかに勝手に入り込んでくるようになり、ついには祖母に捕らわれます。療養生活を送ってきた主人公は、黒猫の周囲を意に返さず孤塁を守るような佇まいに共感を覚えますが、祖母にとってその黒猫は害悪でしかありませんでした。

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    28 分
  • 小泉八雲 「茶碗の中」
    2024/07/02

     お茶を飲もうと口元に引き寄せた茶碗の中に、思いもかけぬものが現れます。不思議は何のかかわりもなく突然に、身に降りかかってくることがあります。理由も因縁も描かれていないこの短編を完結させるのは、あなたの想像力です。

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    8 分
  • 菊池寛 「餓鬼」
    2024/06/28

     満員電車で座ることの出来なかった主人公は、車内を観察しながら、席に着くべき人や譲るべき人について思いを巡らします。他人の自分勝手な態度に立腹しますが、思いやりや優しさを失わずに過ごしていくことはそう簡単ではありません。正しくありたいと思っている自分に、醜さを発見し愕然とします。

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    21 分
  • 佐佐木俊郎 「機関車」
    2024/06/24

     日本が近代化に向かうなかで、持つ者と持たざる者の差が開く一方で、労働者階級の意識も高まり連帯して労働条件を変えようという運動が盛んになったころのことです。若く真面目な青年機関士が、薄幸な運命を生きる女と知り合いますが、思わぬ仲間の行動が女の運命を変えてしまいます。

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    22 分