Q:オーナーです。店長には店舗運営を任せているということで「店長手当」を基本給とは別に毎月つけています。モチベーションを上げて頑張ってもらいたいのと、残業代をあまり多くは払えないので、手当で調整をしているのですが、店長から「残業代をちゃんと払ってください!」と言われました。どこがダメなのでしょうか? A:業務遂行の対価として払う手当の額は、基本給とあわせて残業代を計算するときの基礎となります。基本給とわけて「◯◯手当」を作っても、残業計算時に除くことはできないため、注意しましょう。 こんくり株式会社 https://con-cre.co.jp/ MANA-formation https://community.camp-fire.jp/projects/view/409762 <解説> 「◯◯手当」は、基本的に一定の条件を満たしたスタッフに支給するものです。例えば、Qのような「店長手当」。マネージャーや責任ある立場に就くと「マネージャー手当」「役職手当」など、名称はさまざまですが、一定の手当をつけるところが多いようです。また、アルバイトスタッフに対して、たとえば発注担当者には「発注手当」をつけるところもあります。 あとは、年末年始に勤務したスタッフに対する「年末年始手当」など。中には、一定の条件において借家で生活するスタッフへ支給する「住宅手当」や扶養する家族がいるスタッフに対する「家族手当」など、業務には直接関係はないものの、手当の支給対象にしているところもあるようです。 これらの支払い方法は、月給の人であれば、まとまった数千円〜数万円単位の手当になりますし、時給であれば、基本時給に上乗せをする形で計算をすることが多いです。こうした手当をつけることによって、スタッフが「責任ある仕事を任せてもらえて、かつ給料も上乗せでもらえる」と、仕事や家庭でのモチベーションアップにつながり、さらに成長していくきっかけとなるため、手当は有効に使うと良い影響があります。しかしその反面、多用すると管理する側が大変になってきます。その最たるものが、「残業代の計算」です。 【業務関連の手当は基本給と同じ?!】 それでは、手当を設定する際の注意点を見ていきましょう。 ①手当を増やしすぎないよう注意 どういう条件のもとにつける手当なのか、を整理して有効に活用できる程度の種類にとどめましょう。「発注手当」(発注担当者に対して)、「育成手当」(スタッフ育成担当者に対して)など、特定の業務に対して設定する場合は、本当に別途手当をつけるべき業務なのか、をしっかり考えて実行に移すようにします。たとえば、「レジ手当」「納品手当」「トイレ清掃手当」「油交換手当」など、各業務で手当があったらどうでしょうか…。それ自体が悪いことではもちろんないですが、煩雑になりますよね。 また、社員に多い「店長手当」「役職手当」は、役割でまるっと設定できるので便利だ!と考えるオーナーも多いですが、これもなんとなく設定してしまうのは禁物。例えば店長手当の場合、何が店長業務なのかを明確にしないまま手当をつけると、スタッフと同じ仕事しかできない(店舗の数値管理、人員管理ができない)店長がいても同じ手当を支払うことになり、支給する本来の意味が薄れてしまうでしょう。 ②残業代の計算に入れるものと入れないものがある 残業代。オーナーや経営層の方からすると、できれば最小限にとどめたいものですよね。今回のQの回答部分ですが、基本給(基本時給)に乗せる「◯◯手当」が“業務に対する対価”である場合、基本給と合計して、残業代の計算の基礎としなければなりません。 時給の例でいくと、時給1,000円のスタッフに、発注手当が100円ついたとします。この場合は、1,100円が残業代の計算の基礎となる、ということです。残業代は法律上1.25倍で計算することになりますので、1,100円×1.25=1,375円が、残業時の時給となります。残業代計算においては、俗っぽい言い方をすると「◯◯手当は基本給と同じ扱い」なのです。 また、たまに見かけるのですが、「インセンティブ」制度を導入している店舗があります。たとえば店長であれば、月の売上目標や利益目標を...
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