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ロマネスク

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ロマネスク

著者: 太宰 治
ナレーター: 佐々木 健
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このコンテンツについて

●「仙術太郎」 太郎は生まれたときからほかの子どもたちとは何かが違っていた。外で遊んだりすることもなく、毎日のように蔵の中に入っては父・惣助の蔵書を手当り次第に読んでいた。そのうちに蔵書の中に“仙術”の本を見つけた太郎は、これを最も熱心に読みふけった。そして蔵の中で一年ほど修行して、鼠と鷲と蛇になる法を体得する。やがて、隣りの油屋の娘に恋をした太郎は、津軽でいちばんのよい男になりたいと願う。そして太郎はおのれの仙術を使って、よい男になるように念じはじめる。十日目、その念願が叶う。しかし太郎は鏡の中を覗いてとても驚いた!? ●「喧嘩次郎兵衛」 ならずもの、と呼ばれて不潔がられていた次郎兵衛は毎日のように酒を呑んだくれていた。そしてある時、喧嘩の強い男になりたいと思いたつ。人間、バカげた目にあったときには理屈もくそもないものだ。人に触れたら、人を斬る。馬に触れたら、馬を斬る。それがよいのだ、と、その日から次郎兵衛はこっそり喧嘩の修行を開始する。そして三年間の修行を終え、誰にも負けないほどの強い男になる。しかし、火消しの頭になって多くの人たちの信頼を得、敬われるようになった次郎兵衛には、皮肉にも喧嘩の機会が訪れることがなかった…。味気ない思いをしていた次郎兵衛は、ある日の晩、妻の酌で酒を呑みながら、「おれは喧嘩が強いのだよ。喧嘩をするにはの、こうして右手で眉間を殴り、こうして左手で水落ちを殴るのだよ」と妻を相手にじゃれてやってみせていた……。次郎兵衛に、ものの上手のすぎた罰がくだる。 ●「嘘の三郎」 三郎は嘘しかつかない。三郎は考える。「嘘は犯罪から発散する音無しの屁だ。重苦しい現実を少しでも涼しくしようとして嘘をつくのだけれども、嘘は酒とおなじようにだんだんと適量が増えてくる。次第次第に濃い嘘を吐いていって、切磋琢磨され、ようやく真実の光を放つ。人間万事嘘は誠」。これは滑稽の頂点である。三郎は苦笑する。三郎はひとつ今日より嘘のない生活をしてやろうと思いたつ。みんな秘密な犯罪を持っているのだ。びくつくことはない。ひけめを感ずることもない。嘘のない生活…。その言葉からしてすでに嘘である。美きものを美しと言い、悪しきものを悪しという。それも嘘である。あれも汚い、これも汚い、と三郎は毎夜、苦悩する。そしてある日、三郎は朝っぱらから居酒屋へ出かける。縄のれんをはじいて中へはいると、この早朝に、もうはや二人の先客があった。驚くべし、仙術太郎と喧嘩次郎兵衛の二人であった…。三者三様の物語がここで出会う。(C)PanRolling アジア 文芸小説

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ナレーション
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ストーリー
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