『葉桜と魔笛』のカバーアート

葉桜と魔笛

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葉桜と魔笛

著者: 太宰 治
ナレーター: 大島 昭彦
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このコンテンツについて

太宰治(本名 津島修治)は、小学校では学校始まって以来富岳百景 の秀才と称されるほど成績優秀で、特に作文に優れ、腕白でいたずらっ子でもありました。

茶目っ気があり、中学校では友人を笑わせては先生に叱られることも多かったそうです。

そしてこの頃から文学作品に親しむようになり、友人らと同人誌「蜃気楼」を創刊、太宰自身も作品を発表しました。

そんな彼が、ノートに何度も名前を書いたり講演会に足を運んだり、格好を真似て写真を撮ったりと深く愛好していた作家に芥川龍之介がいます。

その芥川の死に強い衝撃を受けたことがきっかけで、学業を投げ出し悪遊びをするようになりました。

それから太宰の姿は、今までとは想像もつかないような変貌を遂げていきます。

感受性が強く情緒不安定で、突拍子もない行動を起こし、故に波乱万丈な人生となります。

そうした彼の資質や様々な経験から生み出された小説はとても人間くさく、今でも読む人々を魅了しています。

<作品冒頭>

桜が散って、このように葉桜のころになれば、私は、きっと思い出します。――と、その老夫人は物語る。
――いまから三十五年まえ、父はその頃まだ存命中でございまして、私の一家、と言いましても、母はその七年まえ私が十三のときに、もう他界なされて、あとは、父と、私と妹と三人きりの家庭でございましたが、父は、私十八、妹十六のときに島根県の日本海に沿った人口二万余りの或るお城下まちに、中学校長として赴任して来て、恰好の借家もなかったので、町はずれの、もうすぐ山に近いところに一つ離れてぽつんと建って在るお寺の、離れ座敷、二部屋拝借して、そこに、ずっと、六年目に松江の中学校に転任になるまで、住んでいました。
私が結婚致しましたのは、松江に来てからのことで、二十四の秋でございますから、当時としてはずいぶん遅い結婚でございました。
早くから母に死なれ、父は頑固一徹の学者気質で、世俗のことには、とんと、うとく、私がいなくなれば、一家の切りまわしが、まるで駄目になることが、わかっていましたので、私も、それまでにいくらも話があったのでございますが、家を捨ててまで、よそへお嫁に行く気が起らなかったのでございます。
せめて、妹さえ丈夫でございましたならば、私も、少し気楽だったのですけれども、妹は、私に似ないで、たいへん美しく、髪も長く、とてもよくできる、可愛い子でございましたが、からだが弱く、その城下まちへ赴任して、二年目の春、私二十、妹十八で、妹は、死にました。
そのころの、これは、お話でございます……。

太宰治(だざい・おさむ)
津軽の大地主の六男として生まれる。共産主義運動から脱落して遺書のつもりで書いた第一創作集のタイトルは「晩年」(昭和11年)という。この時、太宰は27歳だった。その後太平洋戦争に向う時期から戦争末期までの困難な間も妥協を許さない創作活動を続けた数少ない作家の一人である。戦後「斜陽」(昭和22年)は大きな反響を呼び、若い読者をひきつけた。©2022 PanRolling
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葉桜と魔笛に寄せられたリスナーの声

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ナレーションが良い

女性目線の物語にとても合ったナレーションで、内容がスッと入ってきました。
とても好きな作品を、美しいナレーションで聴けて満足です。

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しみじみと聴き、引き込まれました

以前に本で読みました。
語り手の声が大変しっくりと来て、ああ、こんな話だったなぁと、昔とは違う感慨に、胸な迫りました。

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すごくよかったです

聞けてよかったです。すごくよかったです。また聞きたいですね。

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語りが良い


話が二転三転するので引き込まれてしまいます。最後の妹の言葉がとても心に残り、色々と考えさせられました。

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冒頭からもう泣ける

決して長い作品ではないですが、妹の健気に生きる様や、それを語る私(主人公)の哀愁がこれでもかと言うくらい伝わります。

ナレーターさんの語りが本当に、この作品の世界観とマッチしていてよかったです。

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女性語り

個人的に太宰作品の中で一番好きな女性目線の作品は「女生徒」だが、これはその次ぐらいにヒットした。

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哀愁

女性目線で美しい話なのに随所に哀愁漂う。太宰らしい面白い話でした。

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