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あらすじ・解説
<内容紹介>
ある夜、明智小五郎の友人である小林紋三は、酔っぱらって安来節の御園館を出た帰りに、鳥打帽の三十代くらいの男に面白い話があると五十銭をねだられる。紋三は興味本位で五十銭を渡して、男から一枚の紙片を受け取った。
浮浪人たちが寝支度をしている共同ベンチのそばを通り抜けようと二三歩進んだ時、紋三は傍らの闇のなかにうごめく気配を感じた。
それは一寸法師のような小男だった。
悟られないよう様子をうかがい、何気なく後をつけてみると、その男は持っていた風呂敷包みから人間の腕を落とした。
紋三は不審に思って男を追いかけていると、やがて養源寺という寺に入っていった。
翌日、紋三は養源寺の住職を訪ねて昨晩の男の話をするも、心当たりはないということで追い返されてしまう。
手掛かりを得られぬまま寺を後にすると、その帰り道で実業家の山野大五郎の妻・百合枝に遭遇する。
彼女は娘の三千子が行方不明になったということを話し、紋三に明智を紹介してほしいと頼むのだった。
<江戸川乱歩(えどがわ・らんぽ)>
日本の推理小説家。1894年10月21日生まれ、三重県生まれ。筆名は、19世紀の米国の小説家エドガー・アラン・ポーに由来する。数々の職業遍歴を経て作家デビューを果たす。本格的な推理小説と並行して『怪人二十面相』、『少年探偵団』などの少年向けの推理小説なども多数手がける。代表作は『人間椅子』、『黒蜥蜴』、『陰獣』など。1954年には乱歩の寄付を基金として、後進の推理小説作家育成のための「江戸川乱歩賞」が創設された。