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  • 著者: 芥川 龍之介
  • ナレーター: 野口 晃
  • 再生時間: 9 分
  • 4.2 out of 5 stars (6件のカスタマーレビュー)

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あらすじ・解説

代々江戸城の茶室を管理し、将軍や大名に茶の接待をする「奥坊主」と呼ばれる職を務めた家柄に育ち、文芸や芸事への興味・関心を早くから持っていた芥川龍之介。
才気にあふれ、世話好きな性格は周りの人々を惹きつけ、たくさん悩みながらもよく笑い、よくしゃべる人だったそうです。
そんな芥川は、東京帝国大学に入学した翌年、高校の同級だった久米正雄らと共に第三次「新思潮」を創刊し、小説や翻訳を発表しました。
次いで第四次「新思潮」を創刊の際に掲載した『鼻』が夏目漱石に認められ、文壇に登ることとなりました。
その後新聞社に入社し、記者としてではなく専業作家として意欲的に執筆活動を続けました。
芥川は、漱石や森鴎外から文体や表現の影響を受けたり、キリシタンもの、江戸を舞台にしたものなど題材に応じて文体を変えたりと、意識的な小説の書き方をしていました。
また、鈴木三重吉により創刊された児童雑誌「赤い鳥」には、初となる童話作品『蜘蛛の糸』を発表、その後も同雑誌を中心に童話作品を相次いで発表し、幅広く作品を世に残しています。


雌蜘蛛は真夏の日の光を浴びたまま、紅い庚申薔薇の花の底に、じっと何か考えていた。
すると空に翅音がして、たちまち一匹の蜜蜂が、なぐれるように薔薇の花へ下りた。蜘蛛は咄嗟に眼を挙げた。ひっそりした真昼の空気の中には、まだ蜂の翅音の名残りが、かすかな波動を残していた。
雌蜘蛛はいつか音もなく、薔薇の花の底から動き出した。蜂はその時もう花粉にまみれながら、蕊の下にひそんでいる蜜へ嘴を落していた。
残酷な沈黙の数秒が過ぎた。
紅い庚申薔薇の花びらは、やがて蜜に酔った蜂の後へ、おもむろに雌蜘蛛の姿を吐いた。と思うと蜘蛛は猛然と、蜂の首もとへ跳りかかった。蜂は必死に翅を鳴らしながら、無二無三に敵を刺そうとした。花粉はその翅に煽られて、紛々と日の光に舞い上った。が、蜘蛛はどうしても、噛みついた口を離さなかった。
争闘は短かった。
蜂は間もなく翅が利かなくなった。それから脚には痲痺が起った。最後に長い嘴が痙攣的に二三度空を突いた。それが悲劇の終局であった……
©2022 PanRolling

女に寄せられたリスナーの声

総合評価
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ナレーション
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ストーリー
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あくまで捉え方の問題だと思うが

芥川は過去に女性をこの蜘蛛の様な存在だと思っていたのだろうか。

ちょっと偏った見方かもなぁとも思いました。

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ありがとうございました。

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不思議な後味が残る

虫嫌いなので、忠実に頭の中で想像してしまうと気持ち悪いのだけれど・・・
短い中にしっかりとした描写があり、不思議な後味が残る作品でした。
ナレーターさんの声が良かったです。

問題が発生しました。数分後にもう一度お試しください。

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    4 out of 5 stars

聞けて良かった

この作品を聞くことができてよかったです。あらためて、芥川龍之介の作品を好きになりました。

問題が発生しました。数分後にもう一度お試しください。

ありがとうございました。

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雌蜘蛛


子供が溢れ出てくる描写を想像すると気持ち悪いのですが、易々と風景を思い浮かべられる文章がすごいなと思います。

問題が発生しました。数分後にもう一度お試しください。

ありがとうございました。

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