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春の夜は

著者: 芥川 龍之介
ナレーター: 佐々木 健志
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あらすじ・解説

代々江戸城の茶室を管理し、将軍や大名に茶の接待をする「奥坊主」と呼ばれる職を務めた家柄に育ち、文芸や芸事への興味・関心を早くから持っていた芥川龍之介。
才気にあふれ、世話好きな性格は周りの人々を惹きつけ、たくさん悩みながらもよく笑い、よくしゃべる人だったそうです。
そんな芥川は、東京帝国大学に入学した翌年、高校の同級だった久米正雄らと共に第三次「新思潮」を創刊し、小説や翻訳を発表しました。
次いで第四次「新思潮」を創刊の際に掲載した『鼻』が夏目漱石に認められ、文壇に登ることとなりました。
その後新聞社に入社し、記者としてではなく専業作家として意欲的に執筆活動を続けました。
芥川は、漱石や森鴎外から文体や表現の影響を受けたり、キリシタンもの、江戸を舞台にしたものなど題材に応じて文体を変えたりと、意識的な小説の書き方をしていました。
また、鈴木三重吉により創刊された児童雑誌「赤い鳥」には、初となる童話作品『蜘蛛の糸』を発表、その後も同雑誌を中心に童話作品を相次いで発表し、幅広く作品を世に残しています。


僕はコンクリイトの建物の並んだ丸の内の裏通りを歩いてゐた。すると何か匂を感じた。何か、?――ではない。野菜サラドの匂である。僕はあたりを見まはした。が、アスフアルトの往来には五味箱一つ見えなかつた。それは又如何にも春の夜らしかつた。

U――「君は夜は怖くはないかね?」
僕――「格別怖いと思つたことはない。」
U――「僕は怖いんだよ。何だか大きい消しゴムでも噛んでゐるやうな気がするからね。」
これも、――このUの言葉もやはり如何にも春の夜らしかつた。

僕は支那の少女が一人、電車に乗るのを眺めてゐた。それは季節を破壊する電燈の光の下だつたにもせよ、実際春の夜に違ひなかつた。少女は僕に後ろを向け、電車のステツプに足をかけようとした。僕は巻煙草を銜へたまま、ふとこの少女の耳の根に垢の残つてゐるのを発見した。その又垢は垢と云ふよりも「よごれ」と云ふのに近いものだつた。僕は電車の走つて行つた後もこの耳の根に残つた垢に何か暖さを感じてゐた……
©2022 PanRolling

春の夜はに寄せられたリスナーの声

総合評価
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ナレーション
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ストーリー
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夜の雰囲気


春の夜、という全く別の作品もあるので聞いていて混乱しました。春の夜は、は9つの短い文章で構成されています。

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ふわふわとした感触

「春の夜は」に続く言葉をぼんやりと考えてしまうような、なんとなく春の暖かさでふわふわとした感触を味わえる作品。
9つの短い文章で綴られる文章を耳で聴き、情景を思い浮かべるのは面白い体験でした。
今で言うところの、呟きをSNSでぼんやり眺めている感覚のような。

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思い出のような詩

ひとつひとつに芥川の思い出か何かを詰め込んだのでしょうか

決して衝撃的なものではないが、なんとなくこんなのあったなぁって感じです

問題が発生しました。数分後にもう一度お試しください。

ありがとうございました。

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