1931年（昭和6年）に発表された短編です。
たびたび題名が「目羅博士」になるなどしましたが、ここでは発表当初の作品名にしました。

代々江戸城の茶室を管理し、将軍や大名に茶の接待をする「奥坊主」と呼ばれる職を務めた家柄に育ち、文芸や芸事への興味・関心を早くから持っていた芥川龍之介。 才気にあふれ、世話好きな性格は

禅智内供という僧侶の鼻は太くて長く、五、六寸（15cmから18cm）ある。細長い腸詰めのようなものがぶらりと顔のまん中からぶら下がっている。僧侶は自分の鼻が気になってしかたがない。

主人公は小学３年生。小学１年生の弟とその友人、その中学生の姉。いじめをめぐって微妙に揺れる少年の心の動きを描写した短編小説。

これは・・・、出版やオーディオブック化されていいのだろうか、という内容の作品です。現在の感覚では到底許されない事象や表現がなされています。しかし、この作品が発表された時代、大正から

唐の都である洛陽の西の門の下に、ひとりの若者が立っていた。昔は金持ちの息子だったのだが財産を使い尽くして、今夜の寝場所もないあわれな身分になっていたのだ。

薬屋の男が辻演説をしている。妻を殺して屍蝋にし、店先に置いてあるという。それを聴いた「私」は・・・。それは、白昼の悪夢であったか、それとも現実の出来事であったか。

作者自身とおぼしき人物である「私」と、同じ客車の前の席に乗り込んできた十三四の田舎娘。

一匹の蝿の視点から見る人間の世界。国語の教材にもなった作品。真夏の宿場で一匹の蝿が馬の背中に這い上がった。一人の農婦がやってきて、馬車はいつ出るかきく。

「二銭銅貨」と同時期に書かれた江戸川乱歩のデビュー作。一般的には「二銭銅貨」のみが処女作と見なされているが、これは、この作品の出来があまりに素晴らしかったために、外国の推理小説を下敷

妻殺しの手順は完璧。のはずだった。そこに現れた私立探偵。積み木を一つずつ積み上げるように主人公を追い詰める。江戸川乱歩が崇拝し、乱歩の「Ｄ坂の殺人事件」にも登場するこの作品を聴かずし

京都の罪人を遠島へ送るために高瀬川を下っていく途中、下級役人の同心である羽田庄兵衛は罪人の喜助が晴れ晴れとした顔をしているのを不審に思った。罪人は島へいくのを悲しがって夜どおし泣くにきまっていたのだ。

乱歩がSF小説？と思わせるような作品名。しかし聴き始めるとあなたは、幻想的悪夢的に展開していく物語にぐんぐん引き込まれていくでしょう。この作品の執筆当時の江戸川乱歩は体調を崩していて探偵小説

不気味な島で繰り広げられる殺人事件と、主人公の葛藤が交錯します。この作品を聴き進めるにしたがって、あなたは緊張感と興奮を味わう事でしょう。

明智小五郎シリーズ、前期五作目の四番目にあたります。この作品では明智小五郎は派手な作品で派手な活躍をするわけではありませんが、明智の趣味嗜好が明確になった作品でもあります。

喜劇、です。しかし乱歩ですから「謎解き」もあります。それは算盤（そろばん）。内気な男は愛の告白に算盤をどう使ったのか、そしてその恋の行方は、、、。大正ノスタルジーの香りがプン

【解説】 永井荷風の江戸情緒を漂わせる作品集。 風流三昧の俳諧師蘿月は、遊芸への思いを断ち切れずにいる甥の長吉に、敢えて親孝行のために辛抱せよと諭し、長吉と懸隔が生じる苦衷を味わう荷風の懐旧情緒の代表作のひとつ「すみだ川」。他に、新橋の花柳街を題材にした『新橋夜話』より「牡丹の客」、麻布の古家に響いてくる鐘の音の情緒を描く「鐘の声」、明治末年、外遊から帰国して東京の喧噪や雑然さに憤然とする中で訪れた深川で、たちまち懐かしい昔に戻ることができたしみじみさを描く随筆「深川の唄」の3編を収録。 【朗読】 wis ※透明感と落ち着きのある声で親しまれている女性朗読家です。

「モロッコ幻想」「箱の中」「暗い頭」「知らないクラスメート」「死んだ女」「陽のあたる家」「青と赤の二人」「強清水」「汚れたガラス窓」「帰り道」の選りすぐりのホラー小説全十篇の短篇集より「陽の当たる家」を収録。

タイトルからも想像が付く通り、乱歩得意の「猟奇的」な作品です。猟奇的ではありますが、最後の最後にとんでもない仕掛け（？）が待っています。この作品の「百面相」のアイディアは、の

ある日、よだかのところへ、たかがやってきて、名前を変えるようにと言う。おまえみたいなみにくい鳥の仲間だと思われたくないというのだ。

江戸川乱歩、戦後初の作品。谷崎潤一郎「途上」にもある「プロパビリティーの犯罪」で綴られた作品です。

二人の若い紳士が、山奥へ鉄砲をかついでやってきた。生活のためではなく、動物を殺すのが面白いからだという。

“人生はチャンスだ。結婚もチャンスだ。恋愛もチャンスだと、したり顔して教える苦労人が多いけれども、私はそうではないと思う。私は別段、例の唯物論的弁証法に媚びるわけではないが、少なくとも恋愛は、チャンスではないと思う。私はそれを意思だと思う。”昭和21年7月に『芸術』(初出)で発行された本作品は太宰治の恋愛や愛について書かれた作品である。今も昔も変わらぬ男女の関係。本オーディオブックで太宰治の恋愛感に浸ってみてはいかがだろうか。(C)青空文庫

人間の昔からのあこがれ、姿を消して思いのままをやる——透明人間グリフィンはついにそれを実現した。研究のためには手段をえらばない。町の人からは気味わるがられ、うらぎられる。はたしてそれは、透明

いつでも、どこでも、旅は始まる―日々の暮らしの中にも、心を澄ませばすぐ“旅”が見えてくる。本、音、食、酒への「知の旅」、アジア、アフリカ、ヨーロッパへの「足の旅」。「好奇心」をキーワードに古今東西の異郷を探究してめぐり歩く珠玉のエッセイ集。