wisの谷崎潤一郎(2) 「刺青」「秘密」「柳湯の事件」
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谷崎 潤一郎
このコンテンツについて
刺青師の清吉が肌にさす針、抜く針の度ごとに、その光輝ある美女は悶え深い吐息をついた。針のあとは次第に巨大な女郎)蜘蛛の形を具え始め、やがて女の背一面に広がった。糸のような呻き声が女の唇にのぼり、蜘蛛の足は生けるが如く蠕動した …。美しいものを征服し、征服される官能の喜びを描いた谷崎潤一郎の処女作の 「刺青」。
夜毎、美しい女に仮装して人の目を惹く快感に酔う私の「秘密」…。しかしある日、人々の視線は美貌の女に注がれた。それは二、三年前に上海への航海途中の汽船の中で、暫く関係を結んでいたT女だった。浅草雷門での再会を約したその日、私はき つく目隠しをされて俥に乗せられた。その行き先を隠す女の「秘密」とは―。
「柳湯の事件」は、大正7年に発表された偏執的かつ官能的な犯罪小説の傑作。谷崎潤一郎は、耽美的、官能的な小説で知られる巨匠であるが、実は日本の創作推理小説界では先駆的存在であることは知られていない。かの江戸川乱歩は、その青年時代、谷崎ほど刺激的存在はいなかったという。ある日、弁護士のS博士の事務所に息せき切って飛び込んできた画家の青年が語る自分への殺人の嫌疑。湯屋で殺人を犯すに至る妄想。何でもヌラヌラしたものを見たり触ることに快感を覚える彼は、愛人にも、偏執的な愛撫や折檻を繰り返していた。ところが、彼女から逆に自分が殺されるのではないかという被害妄想にいつしか駆られ、ある日半死半生になるまで折檻を加えてしまう。倒れた彼女を置き家を飛び出すが、ふと通りがかった柳湯の湯船には、得体のしれない、足にヌラヌラと触れる物体が沈んでいた。それを彼女の死体だと確信するのだが――。
【朗読】wis
※透明感と落ち着きのある声で親しまれている女性朗読家です。
(C)2015 響林社
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ストーリー
世の中が今のように激しく軋み合わない時分、当時の芝居でもすべて美しい者は強者であり、醜い者は弱者であった。そのようなのんびりした世間の頃、清吉という腕ききの若い刺青師がいた。清吉の刺青は奇警な構図と妖艶な線とで名を知られていた。浮世絵師をしていただけに、刺青師に堕落してからの清吉にもさすが画工らしい良心と、鋭感とが残っていた。
しかし、清吉の心を惹きつける程の皮膚と骨組みとを持つ人でなければ、彼は描くことはなかった。たまたま描いてもらっても、一切の構図と費用を彼の望むままにし、その上堪え難い針先の苦痛をこらえねばならなかった。
清吉の心には、人知らぬ快楽と宿願とが潜んでいたため、清吉が人々の肌を針で突き刺す時、痛みに耐えかねて大抵の男は苦しみ呻き声を発するが、その声が激しいほど清吉は愉快を感じるのであった。
清吉の永年の宿願は、光輝ある美女の肌に己れの魂を刺り込む事であった。ただ、美しい顔、肌のみでは清吉は満足ができず、江戸中を調べても容易には見つからず、三、四年は空しく憧れながらも、彼はなおその願いを捨てずにいた。
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あやしきせかい
- 投稿者: 赤い月広報局 日付: 2023/03/06
著者: 谷崎 潤一郎
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雪国 上 -Wisの朗読シリーズ(58)
- 著者: 川端 康成
- ナレーター: wis
- 再生時間: 3 時間
- 完全版
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総合評価
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ナレーション
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ストーリー
「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。夜の底が白くなった。」の冒頭部分が有名な川端康成の代表作。雪国の温泉宿を舞台に、東京に妻子のある島村と、土地の芸者である一途な駒子の揺れ動く心の襞を軸に、彼女とも知り合いの美しい葉子への関心と平行しながら描かれる。雪国の雪の白さ、冷たく澄みきった空気の透明感や緊張感、温泉の温かさや湯煙、突き抜けるような青空、若葉の瑞々しい緑、列車の汽笛、そして駒子の肌の感触、女性2人の美しい声や手鞠歌の歌声、火事の紅い炎と熱気・・・五感に訴える哀しくも美しい川端美学の結晶的な作品。 ...
著者: 川端 康成