• あなたのいない夕暮れに 〜新訳:エミリー・ディキンソン

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あなたのいない夕暮れに 〜新訳:エミリー・ディキンソン

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  • サマリー

  • 「あなたのいない夕暮れに」は、世界の名詩を現代にあわせた新訳でお届けするボイスレターです。第一弾は、南北戦争の時代を生きたアメリカの詩人エミリー・ディキンソン。 彼女は生涯を自然の中の家の中で白いドレスを着て過ごし、ほとんど外にでることがなく、窓から差し込む光を頼りに詩作を続けました。 文:小谷ふみ 朗読:天野さえか 絵:黒坂麻衣
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あらすじ・解説

「あなたのいない夕暮れに」は、世界の名詩を現代にあわせた新訳でお届けするボイスレターです。第一弾は、南北戦争の時代を生きたアメリカの詩人エミリー・ディキンソン。 彼女は生涯を自然の中の家の中で白いドレスを着て過ごし、ほとんど外にでることがなく、窓から差し込む光を頼りに詩作を続けました。 文:小谷ふみ 朗読:天野さえか 絵:黒坂麻衣
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エピソード
  • 【短編映画】あなたのいない夕暮れに 〜新訳:エミリー・ディキンソン
    2024/01/10
    メッセージ

    南北戦争の時代を生きたアメリカの詩人に、エミリー・ディキンソンという女性がいます。
    彼女は生涯を自然の中の家の中で白いドレスを着て過ごし、ほとんど外にでることなく、窓から差し込む光を頼りに詩作を続けました。

    わたしたちはその生き方から、自分の心の中にある壊れそうなものを現実世界の棘のようなものから守りたいという気持ちと、それでも創作を通じて現実世界と関わりたいという祈りのような気持ちの両方を感じます。

    その生き方から着想し、1つの映画と2つのドレスが生まれました。

    ディキンソンの詩を新訳したこの朗読短編映画「あなたのいない夕暮れに」。

    私達がforget me notそしてtouch me notと名付けたオートクチュールの技法をつかって作られた2つのドレス。

    現実と理想、幸と不幸が重なりあい揺れながら、世界を生きているあなたの心のよすがになりますように。


    出演

    天野さえか
    寺田ゆりか


    スタッフ

    衣装:田中美帆(May & June)
    ヘア&メイク:茂手山貴子
    撮影:帆志麻彩(yori.so gallery & label)
    音楽:横山起朗
    ジュエリー協力:Ryui
    英語字幕:天野さえか
    韓国語字幕:渡辺奈緒子
    脚本:小谷ふみ
    監督・編集:高崎健司(yori.so gallery & label)


    撮影協力


    gallery room yori.so
    シラハマ校舎
    秋谷・立石海岸
    長野県蓼科四季の森ホテル


    produced by yori.so gallery & label
    with love for Emily Dickinson

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    9 分
  • エミリー・ディキンソン「傷つく誰かの心を守れたなら」
    2022/08/11
    こんにちは。 強い日差しにカーッと照りつけられたり、急な雨にザーッと降られたり、あわただしく交互に使う日傘と雨傘を、晴雨兼用ひとつの傘にしたら、どんな空もさあ来いや、と思えるようになりました。 今月、私はまたひとつ年を取ります。半世紀近く生きても、心の中の日照りや大雨、どちらにも使える心の傘は、なかなか見つからないものですね。おかわりありませんか。 先日、数々の引越しとともに、我が家の食器棚にあり続けた、りんごの形の白いお皿を割ってしまいました。それから、あまり時間をたたず、家族が大切にしているお茶碗も......。 なかなか打ち明けることができず、お茶碗を使わずに済む、丼やカレー、麺ものなどを食卓に並べ続けましたが、2週間が限界でした。なんとか、修理したお茶碗を手に謝ることができ、「形ある ものは、いつか壊れるから」という言葉に、一瞬救われました。でも、見る度に傷跡は痛々しく、胸の内にもヒビが入ったように、ため息が漏れ出ます。 この感じは、持病が再発したり、いつもの道で大怪我をしたり、町で知らないおじさんに急に怒鳴られたり、親しくしていた人との関係が修復できなくなったり......目には見えない壊れたもの の破片で、心に傷がついた時の感覚によく似ています。 こんなことなら、ずっと使わず、棚の奥にしまっておけばよかったのか。そんなことも頭によぎります。あれがよくなったのか、これがよくなかったのかと、ぐるぐる考え、つまるところ、もう、物事に波風立たぬよう、自分の心が揺れないよう、どこにも行かず、誰にも会わず、ただじっとしていればいいのか、と。 形があるものは、いつか壊れる。形がなくても、傷つくし、元には戻せない状態になってしまうことがあります。でも、それを恐れて、ずっと棚の中に居たら、それでは生きていることにならない。物も、人も、この世界に降り立ったら、傷つきながら、壊れながら、何もせずにはいられないのだなと、半ば諦めのような、覚悟の決まらないヤセ我慢のような心境になりました。 どうにかくっついた傷を、「これは私の生きた印」なんて思えるようになるには、時間がかかります。それでも、お茶碗も、私も、まだ、がんばれそうです。 こんなこともあり、この夏は誕生日を前に、最近の私のテーマである、ちゃんと「使い切る」という意識がより強くなったように感じます。それは、エコ的な意味とはちょっと違うものです。昔から、気に入った布やシール、好みの便箋や葉書を集めては、ただ眺めるのが好きだったのですが、ある日、私がいなくなったら、これらは必要なくなったものとして処分されるのだと、せつない気持ちになりました。 ならば、自分でちゃんと使い切ろう、物がこの物であることを、まっとうさせてやろうと、真剣に、目の前の布の気持ちになったりして。 今は、彼らのベストな使われ方を考えるのが楽しいです。ミシンの登場も、手紙や葉書を出す頻度も、増えました。 同じように、私の拙い言葉を添え、あなたにおくってきた詩は、私の心が小さく集めてきたもの です。言葉が手紙の風に乗り、私のかわりに、あなたに会いに行ってくれていたわけですが、離れていても、便箋の四角い窓から同じ景色を眺めることができたなら、書いてよかったと思えそうです。 こうやって、自分が得てきたものを、何かのために手放してゆけたら、どんなにいいでしょう。おこがましい願いというのは承知で、この命もまた。 今日は、そんな切なる願いを託した詩を、おくります。 > If I can stop one heart from breaking, > I shall not live in vain; > If I can ease one life the aching, > Or cool one pain, > Or help one fainting robin > Unto his nest again, > I shall not live in vain. > > 傷つく誰かの心を 守れたなら > 生きてよかった きっとそう思える > 生きる痛みを 和らげることが できたなら > 苦しみを 癒やすことが できたなら > ぐったりした コマドリを > 巣に戻してやることが できたなら > 生きてよかった きっとそう思える ......とはいえ、私たちは、...
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    12 分
  • エミリー・ディキンソン「夜明けがいつ来てもいいように」
    2022/07/07
    こんにちは。 ひと晩で、舞台の背景セットが変わったように、雨雲が跡形もなく消え、夏の空が一気に広がりました。はしゃいで、一年ぶりにノースリーブのワンピースを着てみたら、二の腕が驚くほど太くなっていて、戸惑っています。冬の間に蓄えた脂肪が、夏の眩しすぎる光に、さらされています。 おかわりありませんか。 先日、この夏空のように、突然のお客さまを、我が家にお迎えしました。この機会を逃したら、今後、会えるか分からない。そんな奇跡的なタイミングは、ある日の夕方やって来ました。 それは、旅先から、我が家を経由して、帰路に着く計画。こちらは、予告ありの流れ星を受けとめるような、高揚感と緊張感。 でも、あと3時間で駅に着くとの連絡をもらった時、リビングには、まだしまっていない冬の暖房器具、梅雨前に洗いそびれたこたつカバー、既に登場している扇風機や風鈴、繕い途中の浴衣……ひと部屋に、春夏秋冬、全員集合している状態でした。くわえて、食材の買い出しと、食事の準備もせねばならない。 うちには、こんな時に頼りになる、小さな部屋があります。日ごろ「ゲストルーム」と呼んでいますが、ここにゲストを迎えたことは、いまだ一度もありません。 この部屋は、家族がインフルエンザになったら隔離・療養施設になり、筋トレに目覚めれば、違う自分に着替えられる魔法のクローゼットになります。そして、お客さまが来た時には、散らかったものを押し込む部屋になります。つまり、「ゲストが来た時、散らかりを隠すルーム」であるところの「ゲストルーム」なのです。 とにかく、リビングでくつろぐ四季たちを、この部屋に手際よく誘導したら、あとは、お客さまをお迎えすることに集中。おかげで、料理にも手をかけられ、ともに食卓を囲み、できる限りのおもてなしすることができました。 そして、電車を乗り継ぎ3時間以上かけてやって来た流れ星は、わずか1時間ちょっとの滞在ののち、最終の新幹線、時速300キロの風をつかまえ、帰ってゆきました。 「短い時間だったけど、いい時間を過ごしてもらえたかな」と、心地よい疲れと、余韻に浸る深夜。でも、トイレと隣り合う、ゲストルームのもうひとつの扉が全開で、中が丸見えだったことに気がついたのは、無事に帰宅したとのお礼の連絡を受けた後でした。 「会える」ということは、日ごろ、別々に流れている互いの時間が、重なること。 それは、前々からすり合わせられることもあれば、突然に互いの流れが合い出すこともあります。 「さあ、いつでもどうぞ」と、いつ誰が来ても準備万端、どこの扉が開いても大丈夫、そんな風に過ごせたら、どんなにいいだろうといつも思っています。でも実際は、なかなかそうはいきません。 今日は、いつやって来るか分からない、 出会いへのそなえを、はっと思い出させてくれる、 そんな詩を送ります。 > Not knowing when the Dawn will come > I open every Door, > Or has it Feathers, like a Bird, > Or Billows, like a Shoreー > > 夜明けが いつ来てもいいように > あらゆる扉を 開けておく > 夜明けは > 鳥のように 羽ばたいて > 浜辺のように 波よせるから 薄紫に明けてゆく空を見つめる気持ちで、会いたかった誰かを待つ。 朝焼けする胸のおく、「この自分でお迎えして大丈夫かな」、そんなちょっとした不安な気持ちも、見え隠れしながら。 そんな時のため、 散らかった気持ちを、隠してくれる、 見せないでおきたい闇を、見えなくしてくれる、 そんな駆け込み寺のような、秘密の小部屋を、 心やどこかに、持ちながら。 でも、その扉は、閉め忘れずに。 二の腕の準備が整うまでのしばしの間、 夏色のカーディガンを、羽織っておこうと思います。 また手紙を書きます。 あなたのいない夕暮れに。 文:小谷ふみ 朗読:天野さえか 絵:黒坂麻衣
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    8 分

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