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サマリー
あらすじ・解説
📖『月夜のけだもの』朗読 – 月光とけむりに包まれた、やさしく幻想的な一夜🌕🐾
静かに語られる物語の世界へようこそ。
今回お届けするのは、宮沢賢治の『月夜のけだもの』。
十日の月が西の煉瓦塀に沈むまで、あと一時間。
青白い月の光が檻を照らすなか、獣たちはそれぞれの眠りについています。
夜通しうろついていた狐も、今は奇妙な顔で眠り、あたりは静けさに包まれています。
そんななか、語り手は獅子の檻の前のベンチに腰を下ろします。
すると、月の光とけむりが溶け合うようにあたりの空気が変わり、
獅子は黒いフロックコートに身を包み、やさしく威厳ある姿で立ち上がります。
奥方からステッキを受け取った彼は、夜の見回りに出かけていきます。
やがて出会う白熊とのやりとりは、どこかとぼけた味わいがあり、
白熊が探しているという“象”の話を通して、けだものたちの世界に広がる
知恵や信仰、憧れやすれ違いといったものが、ほのかに浮かび上がってきます。
獅子は偉そうでありながら、どこか親しみ深く、話し相手を頭ごなしに否定することはありません。
そのやりとりはまるで、誰かの夢の中で交わされた対話のように、静かであたたかく響きます。
宮沢賢治の筆が描く、静寂と月光に満ちた幻想の一夜。
やわらかな風刺と優しさに包まれたこの物語を、朗読でじっくり味わってみませんか?