Audible会員プラン登録で、20万以上の対象タイトルが聴き放題。
-
冗談に殺す
- ナレーター: 野口 晃
- 再生時間: 52 分
カートのアイテムが多すぎます
カートに追加できませんでした。
ウィッシュリストに追加できませんでした。
ほしい物リストの削除に失敗しました。
ポッドキャストのフォローに失敗しました
ポッドキャストのフォロー解除に失敗しました
Audible会員プラン 無料体験
あらすじ・解説
<内容紹介>
私は「完全な犯罪」なぞいうものは空想の一種としか考えていなかった。
正月の末、いつも通り十二時前後に社を出た新聞記者の私は、寒風の中に立ち止まって左右を見まわした。どこかで一杯引っかけてから、霞ヶ関の暗い坂を登って、二時きっかりに下宿に戻る習慣がついていた。
今夜はどっちへ曲がろうと考えていると、一台の泥だらけのフォードが近づいてきた。帽子を深くかぶり、黒いマスクをかけた若い運転手。私が手を振っても自動車は動かなかった。
今度は、運転手が窓に顔を近づけて、私にだけ聞こえるように「無賃ただでもいいんですが」といった。笑っている目つきを見て面を食らった私は、記事のネタになりそうだと車に乗り込んだ。
行き先も聞かずにスピードを出して、一気に数寄屋橋を渡って銀座裏へ曲り込んだ。いよいよ怪しいと思った矢先スピードを落とした運転手は帽子とマスクをとって私の方に振り返る。
「新聞に書いちゃイヤヨ。ホホホホ……」
私は思わず目を丸くした。その姿は、二週間前から捜索願が出ている某会社の活劇女優だったのだ。私は、ずっと前にある雑誌の猟奇座談会で彼女とたった一度同席していた。
その時、私がこころみた「殺人芸術」に関する漫談を青白い顔で聞いてたのを覚えている。
彼女は、「女優生活に飽きた」という理由でスタジオを飛び出し、東京へ逃げ込むと私の下宿近くの小さなアバラ家を借りて生活をはじめた。
その後、男のような本名の運転免状を持っているのをきっかけに運転手に化け込んでいたのだ。なぜ彼女が私を選んだのか?
その心理の正体を突き止めるため、二人は秘密の生活を始める。この時の私はまだ彼女の猟奇的な一面に気づいていなかった。
<夢野久作(ゆめの・きゅうさく)>
日本の小説家、SF作家、探偵小説家、幻想文学作家。
1889年(明治22年)1月4日 - 1936年(昭和11年)3月11日。
他の筆名に海若藍平、香倶土三鳥など。現在では、夢久、夢Qなどと呼ばれることもある。福岡県福岡市出身。日本探偵小説三大奇書の一つに数えられる畢生の奇書『ドグラ・マグラ』をはじめ、怪奇色と幻想性の色濃い作風で名高い。またホラー的な作品もある。
こちらもおすすめ
-
狂人は笑う
- 著者: 夢野 久作
- ナレーター: あべわき, 西村 健志
- 再生時間: 45 分
- 完全版
-
総合評価
-
ナレーション
-
ストーリー
「ホホホホホホホ……」 だって可笑おかしいじゃありませんか。 ……妾わたしはねえ。失恋の結果世を儚はかなみて、何度も何度も自殺しかけたんですってさあ。
著者: 夢野 久作
-
ココナットの実
- 著者: 夢野 久作
- ナレーター: あべわき
- 再生時間: 1 時間 11 分
- 完全版
-
総合評価
-
ナレーション
-
ストーリー
妾こと美少女エラ子は、神戸海岸通りのレストラン・エイシャの隅っこに腰掛けていた。
著者: 夢野 久作
-
鉄鎚
- 著者: 夢野 久作
- ナレーター: 野口 晃
- 再生時間: 1 時間 54 分
- 完全版
-
総合評価
-
ナレーション
-
ストーリー
――ホントウの悪魔というものはこの世界に居るものか居ないものか――
――居るとすればその悪魔は、どのような姿をしてドンナ処に潜み隠れているものなのか――
――その悪魔はソモソモ如何なる因縁によって胎生しつつ、どのような栄養物を摂(と)って生長して行くものなのか――
――その害悪と冷笑とを逞ましくし行く手段は如何――
かような質問に対して躊躇せずに答え得る人間は、そう余計には居るまいと思う。然るに私はまだヤット二十歳になったばかしの青二才である。だから聖人でも哲学者でもない筈であるが、しかしこの問いに対しては明白に答え得る確信を持っている。
――ホントウの悪魔とは、自分を悪魔と思っていない人間を指して云うのである――自分では夢にも気付かないまんまに、他人の幸福や生命をあらゆる残忍な方法で否定しながら、平気の平左で白昼の大道を濶歩して行くものが、ホントウの悪魔でなければならぬ――
――だから本当の悪魔というものは誰の眼にも止まらないで存在しているのだ――
――そのような悪魔の現実社会に於ける生活とか、仕事とかいうものが如何に戦慄すべきものがあるかという事なぞも、滅多に考えられた事がないのだ――
...
-
-
女性は女性ナレーターでお願いします
- 投稿者: ranpox 日付: 2024/07/15
著者: 夢野 久作
-
けむりを吐かぬ煙突
- 著者: 夢野 久作
- ナレーター: 野口 晃
- 再生時間: 59 分
- 完全版
-
総合評価
-
ナレーション
-
ストーリー
新聞記者の「私」はお屋敷に住むある未亡人に目をつけた。巨万の財産を死蔵し珍書画の収集に没頭していた伯爵。45年前に肺病により死んでしまい夫人は未亡人となる。
-
-
ナレーションが素晴らしい
- 投稿者: うっち 日付: 2024/07/20
著者: 夢野 久作
-
一足お先に
- 著者: 夢野 久作
- ナレーター: 西村 健志
- 再生時間: 2 時間 17 分
- 完全版
-
総合評価
-
ナレーション
-
ストーリー
の膝小僧が不意にキリキリと痛み出して青年・新東は跳ね起きた。何かしらの鋭い刃物で突き刺されたような痛み。 半分夢心地のまま、その辺りを触ってみると右足が見つからない。そう、新東は肉腫によって右足を切断していた。 切断してから気味の悪い足に関する夢をよく見ていた。
-
-
何度も聞いた
- 投稿者: うっち 日付: 2024/09/25
著者: 夢野 久作
-
狂人は笑う
- 著者: 夢野 久作
- ナレーター: あべわき, 西村 健志
- 再生時間: 45 分
- 完全版
-
総合評価
-
ナレーション
-
ストーリー
「ホホホホホホホ……」 だって可笑おかしいじゃありませんか。 ……妾わたしはねえ。失恋の結果世を儚はかなみて、何度も何度も自殺しかけたんですってさあ。
著者: 夢野 久作
-
ココナットの実
- 著者: 夢野 久作
- ナレーター: あべわき
- 再生時間: 1 時間 11 分
- 完全版
-
総合評価
-
ナレーション
-
ストーリー
妾こと美少女エラ子は、神戸海岸通りのレストラン・エイシャの隅っこに腰掛けていた。
著者: 夢野 久作
-
鉄鎚
- 著者: 夢野 久作
- ナレーター: 野口 晃
- 再生時間: 1 時間 54 分
- 完全版
-
総合評価
-
ナレーション
-
ストーリー
――ホントウの悪魔というものはこの世界に居るものか居ないものか――
――居るとすればその悪魔は、どのような姿をしてドンナ処に潜み隠れているものなのか――
――その悪魔はソモソモ如何なる因縁によって胎生しつつ、どのような栄養物を摂(と)って生長して行くものなのか――
――その害悪と冷笑とを逞ましくし行く手段は如何――
かような質問に対して躊躇せずに答え得る人間は、そう余計には居るまいと思う。然るに私はまだヤット二十歳になったばかしの青二才である。だから聖人でも哲学者でもない筈であるが、しかしこの問いに対しては明白に答え得る確信を持っている。
――ホントウの悪魔とは、自分を悪魔と思っていない人間を指して云うのである――自分では夢にも気付かないまんまに、他人の幸福や生命をあらゆる残忍な方法で否定しながら、平気の平左で白昼の大道を濶歩して行くものが、ホントウの悪魔でなければならぬ――
――だから本当の悪魔というものは誰の眼にも止まらないで存在しているのだ――
――そのような悪魔の現実社会に於ける生活とか、仕事とかいうものが如何に戦慄すべきものがあるかという事なぞも、滅多に考えられた事がないのだ――
...
-
-
女性は女性ナレーターでお願いします
- 投稿者: ranpox 日付: 2024/07/15
著者: 夢野 久作
-
けむりを吐かぬ煙突
- 著者: 夢野 久作
- ナレーター: 野口 晃
- 再生時間: 59 分
- 完全版
-
総合評価
-
ナレーション
-
ストーリー
新聞記者の「私」はお屋敷に住むある未亡人に目をつけた。巨万の財産を死蔵し珍書画の収集に没頭していた伯爵。45年前に肺病により死んでしまい夫人は未亡人となる。
-
-
ナレーションが素晴らしい
- 投稿者: うっち 日付: 2024/07/20
著者: 夢野 久作
-
一足お先に
- 著者: 夢野 久作
- ナレーター: 西村 健志
- 再生時間: 2 時間 17 分
- 完全版
-
総合評価
-
ナレーション
-
ストーリー
の膝小僧が不意にキリキリと痛み出して青年・新東は跳ね起きた。何かしらの鋭い刃物で突き刺されたような痛み。 半分夢心地のまま、その辺りを触ってみると右足が見つからない。そう、新東は肉腫によって右足を切断していた。 切断してから気味の悪い足に関する夢をよく見ていた。
-
-
何度も聞いた
- 投稿者: うっち 日付: 2024/09/25
著者: 夢野 久作
-
女坑主
- 著者: 夢野 久作
- ナレーター: 斉藤 範子
- 再生時間: 46 分
- 完全版
-
総合評価
-
ナレーション
-
ストーリー
「ホホホ。つまりエチオピアへお出でになりたいからダイナマイトをくれって仰言おっしゃるん ですね。お易やすい御用ですわ。ホホホ」
著者: 夢野 久作
-
骸骨の黒穂
- 著者: 夢野 久作
- ナレーター: 斉藤 範子
- 再生時間: 57 分
- 完全版
-
総合評価
-
ナレーション
-
ストーリー
直方の南の町外れに一軒の居酒屋があった。主人は藤六といい六十絡みの独身者の老人。
著者: 夢野 久作
-
超人鬚野博士
- 著者: 夢野 久作
- ナレーター: テルヤン
- 再生時間: 3 時間 29 分
- 完全版
-
総合評価
-
ナレーション
-
ストーリー
髭野博士は実に不思議な男だった。 曰く、彼が日本にいるために英国も、米国も、露西亜も、日本に戦いを挑まない。何故なら髭野博士がどんな最新の武器を内々で取り揃えさせているから。
-
-
夢野久作はドグラ・マグラが有名ですが
- 投稿者: K 日付: 2023/04/11
著者: 夢野 久作
-
黒白ストーリー
- 著者: 夢野 久作
- ナレーター: 野口 晃
- 再生時間: 1 時間 40 分
- 完全版
-
総合評価
-
ナレーション
-
ストーリー
いなせな仕事着を着た若者・三平。飯田町付近の材木置き場の中の板をあちこちに並べ直していた。しきりに声色を使い、時には変な身振りを混ぜた三平は芝居気違いだ。
著者: 夢野 久作
-
焦点を合せる
- 著者: 夢野 久作
- ナレーター: テルヤン
- 再生時間: 1 時間 6 分
- 完全版
-
総合評価
-
ナレーション
-
ストーリー
荷物船・海牛丸の機関長である主人公は、九州大学の留学生・李発を船内に招いた。機関長は、ちょうど上海を出る間際に知り合いの王から李発のことを頼まれていた。
著者: 夢野 久作
-
霊感!
- 著者: 夢野 久作
- ナレーター: 西村 健志
- 再生時間: 1 時間 20 分
- 完全版
-
総合評価
-
ナレーション
-
ストーリー
ある青年が急患でやってきた。ドクトル、オルデスネル、パーポンの三人は顔を上げた。
著者: 夢野 久作
-
人間レコード
- 著者: 夢野 久作
- ナレーター: 斉藤 範子
- 再生時間: 40 分
- 完全版
-
総合評価
-
ナレーション
-
ストーリー
下関の桟橋へ着いた七千噸級の関釜連絡船、楽浪丸の一等船室から一人のみすぼらしい西洋人が出てきた。
著者: 夢野 久作
-
巡査辞職
- 著者: 夢野 久作
- ナレーター: 野口 晃
- 再生時間: 2 時間 18 分
- 完全版
-
総合評価
-
ナレーション
-
ストーリー
「草川の旦那さん。大変です。起きて下さい。モシモシ。起きて下さい。私は深良一知(ふからいっち)です」
暑い暑い七月の末の或る早朝であった。山奥の谷郷村駐在所の国道に面したホコリだらけの硝子戸をケタタマシク揺ぶりながら、一人の青年が叫んだ。
それは見るからにここいらの貧乏百姓の児と感じの違った、インテリじみた色の白い鼻筋のスッキリとした美しい青年であった。慌てて走って来たものと見えて、手拭浴衣の寝巻に帯も締めない素跣足が、灰色の土埃にまみれている。……と……駐在所の入口になっている硝子戸が内側からガタガタと開いて、色の黒い、人相の悪い顔に、無精鬚をぼうぼうと生した、越中ふんどし一つの逞ましい小男が半身を現わした。
「どうしたんか」
「アッ。草川の旦那さん」
草川巡査はねむそうな眼をコスリコスリ青年の顔を見直した。
「何だ。一知じゃないかお前は……」
「はい。あの……あの……両親が殺されておりますので……」
「何……殺されている? お前の両親が……」
「はい。今朝、眼が醒めましたら、台所の入口と私の枕元に在る奥の間の中仕切が開け放しになっておりましたから、ビックリして奥の間の様子を見に行ってみますと、お父さんと、お母さんが殺されております。蚊帳(かや)が釣ってありますので、よくわかりませんが
著者: 夢野 久作
-
眼を開く
- 著者: 夢野 久作
- ナレーター: テルヤン
- 再生時間: 38 分
- 完全版
-
総合評価
-
ナレーション
-
ストーリー
唯物弁証法的な考えを持つ小説家に起こったひとつの出来事。ある若い小説家が創作に専念するためにある山奥にこもる。
-
-
心が動かされました
- 投稿者: amalfi_7 日付: 2024/07/26
著者: 夢野 久作
-
復讐
- 著者: 夢野 久作
- ナレーター: 斉藤 範子
- 再生時間: 1 時間 24 分
- 完全版
-
総合評価
-
ナレーション
-
ストーリー
S岳村から五六町離れた山裾に藤沢病院が立っていた。
-
-
真相不明
- 投稿者: ranpox 日付: 2024/07/14
著者: 夢野 久作
-
縊死体
- 著者: 夢野 久作
- ナレーター: テルヤン
- 再生時間: 6 分
- 完全版
-
総合評価
-
ナレーション
-
ストーリー
ある公園のベンチ。目の前の噴水の音を聞きながら、「私」は夕刊を広げていた。ある記事を探し、見当たらないことが分かると安堵した。
著者: 夢野 久作
-
怪夢
- 著者: 夢野 久作
- ナレーター: 野口 晃
- 再生時間: 51 分
- 完全版
-
総合評価
-
ナレーション
-
ストーリー
おごそかに明るくなって行く鉄工場の霜朝。徐々に……徐々に……工場内に重なり合った一切の機械がめざめはじめる。人間……狂人……超人……野獣……猛獣……怪獣……巨獣……それらの一切の力を物ともせぬ鉄の怒号……如何なる偉大なる精神をも一瞬のうちに恐怖と死の錯覚の中に誘い込まねばおかぬ真黒な、残忍冷酷な呻吟が、到る処に転がりまわる。
今までに幾人となく引き裂かれ、切りちぎられ、タタき付けられた女工や、幼年工の亡霊を嘲る響き……
このあいだ打ち砕かれた老職工の頭蓋骨を罵倒する声……
ずっと前にヘシ折られた大男の両足を愚弄する音……
すべての生命を冷眼視し、度外視して、鉄と火との激闘に熱中させる地獄の騒音……
私は、私の父親が頓死をしたために、無経験のまま、この工場を受け継がせられた……そうしてタッタ今、生れて初めての実地作業を指揮すべく引っぱり出された。
「ナアニ。やって見せる。児戯に類する仕事だ……」と、私は腕を組んだまま悠々と歩き出した。
「ウワッ。タタ大将オッ」という悲鳴に近い絶叫が私の背後に起った……又誰かやられたか……
夢野久作
日本の小説家、SF作家、探偵小説家、幻想文学作家。1889年(明治22年)1月4日-1936年
-
-
久作らしい短編なのだが
- 投稿者: miroku567 日付: 2018/07/06
著者: 夢野 久作
-
戦場
- 著者: 夢野 久作
- ナレーター: 野口 晃
- 再生時間: 1 時間 58 分
- 完全版
-
総合評価
-
ナレーション
-
ストーリー
外科病院を開業しているポーランド生まれのドイツ医学博士。1916年の1月の末。医学博士が28歳の時、ベルリンの市役所に傭医院を勤めていた。
著者: 夢野 久作
-
空を飛ぶパラソル
- 著者: 夢野 久作
- ナレーター: 野口 晃
- 再生時間: 1 時間 21 分
- 完全版
-
総合評価
-
ナレーション
-
ストーリー
福岡時報の新聞記者である「私」は特ダネを探しに九大工学部へ向かう。工学部の正門前は一面の水田になっていた。
著者: 夢野 久作
-
爆弾太平記
- 著者: 夢野 久作
- ナレーター: テルヤン
- 再生時間: 2 時間 51 分
- 完全版
-
総合評価
-
ナレーション
-
ストーリー
大正九年。韓国・釜山沖のとある島で恐ろしい暴風雨の中、斎木検事はここに潜伏する旧友・轟雷雄の元を訪れていた。 轟が語るのは、如何に自身が首を飛ばされてしまったか……という話だが、そこには常識では考えられない凄愴、惨憺、醜怪、非道を極めたものがあるのだという。
著者: 夢野 久作
-
難船小僧(S・O・S・BOY)
- 著者: 夢野 久作
- ナレーター: 西村 健志
- 再生時間: 1 時間 17 分
- 完全版
-
総合評価
-
ナレーション
-
ストーリー
「ギャア――。ウワアッ。助けて助けて……カンニンして下サアイ。僕はこの船を降りますから……どうぞどうぞ……助けてエ助けてエッ……」
「アハハハ。どうもしねえだよ。仕事を手伝いせえすれあ、ええんだ」
「許して……許して下さあい。僕……僕は……お母さんが……姉さんが家(うち)に居るんですから……」
「ウハハハハ……云う事を聴かねえとコレだぞ」
「致します致します。何でも致します。……すぐに……すぐに船から下して下さい。殺さないで下さい」
「知ってやがったか。ワハハハハハハハ」
昭和二年頃の十月の末だったっけ……
足音高くブリッジに登って行った俺は、船長(おやじ)の背後でワザと足音高く立停まった。
「おはよう……」と声をかけたがは見向きもしない。何しろ船長仲間でも指折の変人だからね。何か一心に考えていたらしい。俺は右手に提げた黄色い、四角い紙包を船長の鼻の先にブラ下げてキリキリと回転さした。
「御註文のチベット紅茶です。やッと探し出したんです」
船長(おやじ)はやっとびっくりしたらしく首を縮めた。無言のまま六尺豊かの長身をニューとこっちへ向けて紅茶を受取った。
「ウウ……機関長か……アリガト……」とプッスリ云った。コンナ時にニンガリともしないのがこの船長の特徴な
著者: 夢野 久作
-
斬られたさに
- 著者: 夢野 久作
- ナレーター: 斉藤 範子
- 再生時間: 1 時間 23 分
- 完全版
-
総合評価
-
ナレーション
-
ストーリー
黄色い桐油の旅合羽を着た若侍が一人松の間に平伏している。その前後に二人の髭武者が立ちはだかっていた。どうやら若侍が髭武者達に絡まれているようだ。
著者: 夢野 久作
-
名娼満月
- 著者: 夢野 久作
- ナレーター: テルヤン
- 再生時間: 1 時間 13 分
- 完全版
-
総合評価
-
ナレーション
-
ストーリー
京都の島原で一と云われる松本楼に満月という花魁が居た。 名前の通り満月ように美しく、毎年三月になると満月の道中姿を見るために洛中洛外の宿屋がいっぱいになる。
著者: 夢野 久作
-
木魂
- 著者: 夢野 久作
- ナレーター: 斉藤 範子
- 再生時間: 1 時間 27 分
- 完全版
-
総合評価
-
ナレーション
-
ストーリー
「……俺はどうしてコンナ処に立ち佇どまっているのだろう……踏切線路の中央まんなかに突立って、自分の足下をボンヤリ見詰めているのだろう……汽車が来たら轢ひき殺されるかも知れないのに……。」
著者: 夢野 久作
-
幽霊と推進機
- 著者: 夢野 久作
- ナレーター: テルヤン
- 再生時間: 41 分
- 完全版
-
総合評価
-
ナレーション
-
ストーリー
明治19年。イギリス人を船長とする貨物船は香港からシンガポールへ向かっていた。航海の途中、主人公はその貨物船に乗り込む。
著者: 夢野 久作
-
押絵の奇蹟
- 著者: 夢野 久作
- ナレーター: 中川 奈美
- 再生時間: 3 時間 50 分
- 完全版
-
総合評価
-
ナレーション
-
ストーリー
明治13年。井ノ口トシ子は、九州にて美人聡明な母と堅物の漢学者である父の間に生を受ける。手芸の名人であったトシ子の母は博多随一の富豪、柴田忠兵衛にその腕前をかられ、当時の名優、中村半太夫の舞台を元に押絵の制作を依頼される。出来上がった作品、「阿古屋の琴責め」は柴田忠兵衛の屋敷が見物人で溢れるほどの傑作であった。その評判は瞬く間に博多中を駆け回り、母による押絵作りはいつしか井ノ口家の家計を支えるほどになっていく。そして不思議なことに、幾枚も作られていく押絵のモデルは決まっていつも、美貌の娘トシ子の顔であった。時は過ぎ、明治24年。柴田は新たな押絵を依頼する。彼がそのモチーフにと届けた、大量の錦絵に描かれし「里見八犬伝」の一幕にトシ子が見つけたものは、自分と「瓜二つ」の犬塚信乃の姿であった。そうして完成した押絵は柴田により櫛田神社に奉納され、その評判を聞きつけた父親は喜び勇んで神社へと足を運ぶ。しかし、群集でごった返す妻の作った押絵の前で、彼はある噂を耳にしてしまう。美貌の娘トシ子と、押絵に描かれた稀代の名優中村半太夫が瓜二つであり、自身の妻がトシ子を孕んだ時期が、最初に作った「阿古屋の琴責め」のために観劇した舞台の時期と一致していたことを。堅物でお世辞にも色男とは呼べない父親はその足ですぐに帰宅し、妻と中村半太夫の不義密通を疑い問いただす。「どうぞ、お心のままに遊ばしませ。不義を致し
著者: 夢野 久作
-
支那米の袋
- 著者: 夢野 久作
- ナレーター: 伊原 農, 斉藤 範子
- 再生時間: 1 時間 38 分
- 完全版
-
総合評価
-
ナレーション
-
ストーリー
『私はもう近いうちに日本と戦争をして戦死をするのです。ですからもう、貴女以外の女の人と結婚する事は出来ないのです。貴女と一緒に天国に行くよりほかに楽しみは無くなったのです。ですから満足して、私の云う事をきいて頂戴。温柔おとなしく私の云う通りになって死んで頂戴。ね……わかったでしょう。』ウラジオストクの踊り子ワーニャと若きアメリカ人士官ヤングは互いを傷つけあうような夜の営みを持つ関係になっていた二人は、近々出帆のため別れを余儀なくされることになる。別れたくないワーニャにヤングが持ちかけたアイディアは、支那米の袋に入って軍艦に忍び込みアメリカへ亡命するというものだった。お互いを傷つけることで愛を確かめる行為の最終的な形を、ワーニャに教え込んだヤングが出帆の夜に"持ち込んだ"軍艦の底には、似たような米袋が数多く運び込まれているだった。洗脳されたワーニャの行く末は如何に。想いを遂げる方法は一つ。鋭く冷たく光ったナイフによってなされるのか・・・。
著者: 夢野 久作