名娼満月
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テルヤン
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夢野 久作
このコンテンツについて
<内容紹介>
京都の島原で一と云われる松本楼に満月という花魁が居た。
名前の通り満月ように美しく、毎年三月になると満月の道中姿を見るために洛中洛外の宿屋がいっぱいになる。
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もう一人は、青山銀之丞という若侍で公家侍。俺ほどの漢ぶりに満月が惚れぬはずはない。日本一の美男美女などの自惚れから柄にない無理だ算段をして通い初めていた。
しかし、お金が詰まり始め、時分を見計らって受け持っている宝箱棚の中から秘蔵の書画骨董の数々を盗み出して売っていた。
最後の一人は大阪屈指の廻船問屋、播磨屋の当主千六。流行病で両親を失ってから長年勤めていた煙たい番頭を追い出し、独り天下で廻船問屋の采配を振り始めた。ここまでは良かった、一度付き合いで京見物に上り、満月の姿を見てからというもの、仲間に笑われながら京都に居残っていた。
この三人の競争は徐々に激しくなっていった。その後、お金を使い果たし、満月に愛想を尽かされた若侍・青山銀之丞と当主・千六は結託して復習を誓う。
果たして二人は、競争に勝った金丸長者、そして満月のことを見返すことができるのか?
<夢野久作(ゆめの・きゅうさく)>
日本の小説家、SF作家、探偵小説家、幻想文学作家。
1889年(明治22年)1月4日 - 1936年(昭和11年)3月11日。
他の筆名に海若藍平、香倶土三鳥など。現在では、夢久、夢Qなどと呼ばれることもある。福岡県福岡市出身。日本探偵小説三大奇書の一つに数えられる畢生の奇書『ドグラ・マグラ』をはじめ、怪奇色と幻想性の色濃い作風で名高い。またホラー的な作品もある。
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――ホントウの悪魔とは、自分を悪魔と思っていない人間を指して云うのである――自分では夢にも気付かないまんまに、他人の幸福や生命をあらゆる残忍な方法で否定しながら、平気の平左で白昼の大道を濶歩して行くものが、ホントウの悪魔でなければならぬ――
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――ホントウの悪魔とは、自分を悪魔と思っていない人間を指して云うのである――自分では夢にも気付かないまんまに、他人の幸福や生命をあらゆる残忍な方法で否定しながら、平気の平左で白昼の大道を濶歩して行くものが、ホントウの悪魔でなければならぬ――
――だから本当の悪魔というものは誰の眼にも止まらないで存在しているのだ――
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