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  • 北方行

  • 著者: 中島 敦
  • ナレーター: 斉藤 範子
  • 再生時間: 5 時間 34 分
  • 4.2 out of 5 stars (5件のカスタマーレビュー)

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北方行

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あらすじ・解説

中島敦の現代長編小説。1903年初秋の北京を舞台にした未完の作品。

黒木三造という青年が、北京の叔母を頼り満州まで旅行をすることにした。三造が日本語を教えていた英国人・トムソンが偶然にも天津へ向かう予定があるとのことで、一緒の船で出発をする。一方、三造の叔母であり未亡人の白夫人は、関係を持っていた書生の折毛伝吉と、同じく伝吉と関係のあった娘について思いを巡らせていた。

―――――――――――
朝・黒木三造は渤海湾の潮風に吹かれて甲板の通風筒に靠れている。風は可成強く、波は時々甲板に打揚って彼の足許に飛沫をとばす。曇り日の海面は鉛色に涯しなく拡がり、朝の光の鈍い白さがその上を流れる。まだ夏ではありながら、何かしら冬に近い冷え冷えとしたものが感じられる。

旅の初めに誰でもが感じる漠とした不安と期待とに軽い興奮を覚えながら、三造はぼんやり果もなく打続いた波頭の群を眺めている中に、いつか、今航海している此の海がバルティック海か北海か、とにかく何か北欧の海ででもあるような錯覚に陥っていた。

昨夜暗いペンキ臭い船室の隅で読んだトニオ・クレエゲルが頭に残っていたせいであろうか……

―――――――――――
一切無駄のない、整えられた美しい文体が特徴の中島敦。彼の作品は、漢文調の格調高い端正な文体とユーモラスに語る独特の文体とが巧みに使い分けられています。
学生の頃に「山月記」を読まれた方も多いのではないでしょうか。人が虎になってしまうという伝奇的な物語が、重厚な文体に不思議なリアリティを伴って描かれている様は、今も沢山の読者を引き付けて離しません。

また、『弟子』『李陵』といった作品に描かれている人間観や世界観、そして格調高く美しい文章を、呻吟しながら書いたのではなく、渾々と湧き出るように書いたところに、彼の天才作家としての真骨頂があるではないでしょうか。
代表作以外にも隠れた傑作が数多く収録されています。通勤や移動の合間にも、文学史上に輝く綺羅星のような作品に触れられる当オーディオブックは、きっと感性にも豊かに響く、意義深い時間を届けてくれることでしょう。
©2022 PanRolling

北方行に寄せられたリスナーの声

総合評価
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ナレーション
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ストーリー
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未完の長編

北方行は未完の長編で、中島敦が途中で書くのをやめてしまったと言われているが個人的にはおもしろい作品だなと思う。

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    4 out of 5 stars

どこか儚い描写と美しい文体

海外での実体験をもとにした作品が多くありますが、今回の作品も中島敦らしい美しい文体と世界観でした。

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    4 out of 5 stars

未完だったのですね

冒頭から作家や作曲家の名前が出てきて、登場人物に重ねて著者の品性や知性が感じられました。
綴られる言葉に芯があるし、未完だけど最後っぽい締め括り方など、やはりこういうところにも、品の良さを改めて感じる作品でした。

問題が発生しました。数分後にもう一度お試しください。

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    3 out of 5 stars
  • ストーリー
    3 out of 5 stars

面白い


ナレーターさんの語りが良かったと思います。
未完と言っても、文章の流れが美しく感じられ、飽きずに聴けました。

問題が発生しました。数分後にもう一度お試しください。

ありがとうございました。

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