『杜子春』のカバーアート

杜子春

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杜子春

著者: 芥川 龍之介
ナレーター: 村上 めぐみ
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このコンテンツについて

『杜子春』(とししゅん)とは、1920年(大正9年)¥発表された芥川龍之介の短編小説です。
原拠とされる『杜子春』では、すべてのものに対する執着を捨ててこそ昇仙出来るという「道教」の思想に
根差していますが、芥川は親が地獄の責め苦を受ける場面に変えて、「あの時もし声を出さなかったら、お前を殺していた」と仙人に言わせ、他者への慈しみの心を尊ぶ「大乗仏教」に即した結末に変えています。

或春の日暮です。 唐の都洛陽の西の門の下に、ぼんやり空を仰いでゐる、一人の若者がありました。
若者は名は杜子春といつて、元は金持の息子でしたが、今は財産を費ひ尽して、その日の暮しにも困る位、
憐な身分になつてゐるのです。 何しろその頃洛陽といへば、天下に並ぶもののない、繁昌を極めた都ですから、
往来にはまだしつきりなく、人や車が通つてゐました。門一ぱいに当つてゐる、油のやうな夕日の光の中に、
老人のかぶつた紗の帽子や、土耳古の女の金の耳環や、白馬に飾つた色糸の手綱が、
絶えず流れて行く容子は、まるで画のやうな美しさです。
しかし杜子春は相変らず、門の壁に身を凭せて、ぼんやり空ばかり眺めてゐました。
空には、もう細い月が、うらうらと靡いた霞の中に、まるで爪の痕かと思ふ程、かすかに白く浮んでゐるのです。
「日は暮れるし、腹は減るし、その上もうどこへ行つても、泊めてくれる所はなささうだし
――こんな思ひをして生きてゐる位なら、一そ川へでも身を投げて、死んでしまつた方がましかも知れない。」
杜子春はひとりさつきから、こんな取りとめもないことを思ひめぐらしてゐたのです

芥川 龍之介
(1892年〈明治25年〉3月1日 -1927年〈昭和2年〉7月24日)
代々江戸城の茶室を管理し、将軍や大名に茶の接待をする「奥坊主」と呼ばれる職を務めた家柄に育ち、文芸や芸事への興味・関心を早くから持っていた芥川龍之介。
才気にあふれ、世話好きな性格は周りの人々を惹きつけ、たくさん悩みながらもよく笑い、よくしゃべる人だったそうです。
そんな芥川は、東京帝国大学に入学した翌年、高校の同級だった久米正雄らと共に第三次「新思潮」を創刊し、小説や翻訳を発表しました。
次いで第四次「新思潮」を創刊の際に掲載した『鼻』が夏目漱石に認められ、文壇に登ることとなりました。
その後新聞社に入社し、記者としてではなく専業作家として意欲的に執筆活動を続けました。
芥川は、漱石や森鴎外から文体や表現の影響を受けたり、キリシタンもの、江戸を舞台にしたものなど題材に応じて文体を変えたりと、意識的な小説の書き方をしていました。
また、鈴木三重吉により創刊された児童雑誌「赤い鳥」には、初となる童話作品『蜘蛛の糸』を発表、その後も同雑誌を中心に童話作品を相次いで発表し、幅広く作品を世に残しています。©2022 PanRolling
アジア 文芸小説

杜子春に寄せられたリスナーの声

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心を知る


仙人になるための修行の内容が、大人になってから聴いた方が胸にぐっときました。

ナレーターさんの語りの聴き心地が良かったです。

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静かにゆっくり聴きたくなる作品

学生時代に所属していた演劇部で、顧問の先生が杜子春をモチーフにオリジナルの脚本を書いて上演したことを思い出しました。
読み方もとても丁寧で、静かなところでゆっくり物語の世界に身を落ち着けて聴くのにぴったりです。

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子どものころより

子どものころより、大人になってから
さらに文章より耳で聞く方が物語にすっと入り込めました。

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今聴くからこそ面白い

お話しもわかりやすく、杜子春が富や貧しさに翻弄される感じが現代の自分達にも考えさせられるものがありました。
ナレーターさんの語りもとても丁寧で聞き安かったです。

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世界に引き込まれました

芥川龍之介の作品の世界に引き込まれました。聞けてよかったです。

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ただ、おもしろい。

王道ファンタジーと言うべきか、異国情緒ありずっと読んでいられる。

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舞台は唐の時代、子供も大人も楽しめる童話

唐の時代、貧しく生活を送る「杜子春」が主人公のお話。
杜子春が仙人に弟子入りし、過酷な修行に耐え、成長していきます。
童話ですが、大人も十分楽しめる内容だと思います。
ナレータさんの読み方が良く、お話の風景を思い浮かべることができ、とてもすばらしかったです。

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朗読向きの作品

昔話によくあるような話ですが、朗読で何度聴いても楽しめるのは古典の良さですよね。

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聴き心地が良い

情景や心情が明確に伝わってきたし、ずっと聴いていられるナレーションでとても良かったです。

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