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蜜柑

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蜜柑

著者: 芥川 龍之介
ナレーター: 野口 晃
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このコンテンツについて

代々江戸城の茶室を管理し、将軍や大名に茶の接待をする「奥坊主」と呼ばれる職を務めた家柄に育ち、文芸や芸事への興味・関心を早くから持っていた芥川龍之介。
才気にあふれ、世話好きな性格は周りの人々を惹きつけ、たくさん悩みながらもよく笑い、よくしゃべる人だったそうです。
そんな芥川は、東京帝国大学に入学した翌年、高校の同級だった久米正雄らと共に第三次「新思潮」を創刊し、小説や翻訳を発表しました。
次いで第四次「新思潮」を創刊の際に掲載した『鼻』が夏目漱石に認められ、文壇に登ることとなりました。
その後新聞社に入社し、記者としてではなく専業作家として意欲的に執筆活動を続けました。
芥川は、漱石や森鴎外から文体や表現の影響を受けたり、キリシタンもの、江戸を舞台にしたものなど題材に応じて文体を変えたりと、意識的な小説の書き方をしていました。
また、鈴木三重吉により創刊された児童雑誌「赤い鳥」には、初となる童話作品『蜘蛛の糸』を発表、その後も同雑誌を中心に童話作品を相次いで発表し、幅広く作品を世に残しています。


或曇った冬の日暮である。私は横須賀発上り二等客車の隅に腰を下して、ぼんやり発車の笛を待っていた。とうに電燈のついた客車の中には、珍らしく私の外に一人も乗客はいなかった。外を覗くと、うす暗いプラットフォオムにも、今日は珍しく見送りの人影さえ跡を絶って、唯、檻に入れられた小犬が一匹、時々悲しそうに、吠え立てていた。これらはその時の私の心もちと、不思議な位似つかわしい景色だった。私の頭の中には云いようのない疲労と倦怠とが、まるで雪曇りの空のようなどんよりした影を落していた。私は外套のポッケットへじっと両手をつっこんだまま、そこにはいっている夕刊を出して見ようと云う元気さえ起らなかった。
が、やがて発車の笛が鳴った。私はかすかな心の寛ぎを感じながら、後の窓枠へ頭をもたせて、眼の前の停車場がずるずると後ずさりを始めるのを待つともなく待ちかまえていた……©2022 PanRolling
アジア 文芸小説

蜜柑に寄せられたリスナーの声

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ナレーション
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ストーリー
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耳に優しくて聴きやすい

柔らかい抑揚の語り口で耳に優しく、とても聴きやすかったです。お話自体も短いので、読んだことがなくても内容がスッと入ってきました。

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よかったです

作品を聞けてよかったです。スッと作品の世界に入り込めました。

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短い中に芥川を感じられる

昔、小説を読んだような記憶があったのですが、
内容をいまいち覚えていなかったので、オーディオブックでと聞いてみました。
読みの方の雰囲気がとても作品に合っていると思います。
シーンごとの感情もわかりやすく、作品も短いのであっという間でした。
有名な作品なので知らない方は耳から入ってみるといいかもしれないです。

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あっという間!

導入部分が「或曇った冬の日暮れー」と始まり、奉公に行く娘が列車に乗っていく話で、明るい話ではないのですが、
最後まで聴くと、展開が変わります。。。
短い作品なので、気軽に聴けます!

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得体の知れない朗らかな心もちが湧き上がる

芥川龍之介作品の中でもベスト3に入る大好きな作品。
ナレーション聴きやすかった。

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大人になった今だからこそ見える景色

高校の頃だったか、国語の教材か何かで読んだことがありました。その頃以上に、主人公の心境に共感してしまいます。
一人称の語りを聴きながら、その景色が見えるようでした。年を取ってから味わうと、更に良さが分かる作品だと思います。

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手軽に聞けておすすめ


短めのお話なので、移動中だけで聞き終わることができました。
さくっと気分転換するのにちょうど良かったです。
ナレーターさんの声も聞きやすかったので、他の作品があれば聞いてみようと思います。

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試しにと聴いてみて

普段なかなかこの手の作品などに触れる機会も少なく、試しにと思い聴いてみました。
ナレーターさんの語り口調もよく、すっかりこの作品の世界観にハマってしまいました。

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色彩

芥川作品の中でも、もともと好きなものだったのですがナレーターさんの読み上げで聞くことでより物語の彩度があがったように感じてよかったです。

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心情が伝わる

「私」の憂鬱な心持ちが伝わってきました。また気軽に聞ける長さで良かったです。

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