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  • 歯車

  • 著者: 芥川 龍之介
  • ナレーター: 斉藤 範子
  • 再生時間: 1 時間 48 分
  • 4.3 out of 5 stars (10件のカスタマーレビュー)

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歯車

著者: 芥川 龍之介
ナレーター: 斉藤 範子
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あらすじ・解説

『歯車』(はぐるま)は、『玄鶴山房』、『蜃気楼』、『河童』、『或阿呆の一生』と並ぶ
芥川、晩年の代表作です。
生前に第一章が雑誌「大調和」に発表され、残りは遺稿として発見されました。
遺稿策の中では唯一の純粋な小説です。

僕は或知り人の結婚披露式につらなる為に鞄を一つ下げたまま、
東海道の或停車場へその奥の避暑地から自動車を飛ばした。
自動車の走る道の両がわは大抵松ばかり茂っていた。上り列車に間に合うかどうかは可也怪しいのに違いなかった。
自動車には丁度僕の外に或理髪店の主人も乗り合せていた。
彼は棗のようにまるまると肥った、短い顋髯の持ち主だった。僕は時間を気にしながら、時々彼と話をした。
「妙なこともありますね。ララさんの屋敷には昼間でも幽霊が出るって云うんですが」
「昼間でもね」
僕は冬の西日の当った向うの松山を眺めながら、善い加減に調子を合せていた。
「尤も天気の善い日には出ないそうです。一番多いのは雨のふる日だって云うんですが」
「雨の降る日に濡れに来るんじゃないか?」
「御常談で。しかしレエン・コオトを着た幽霊だって云うんです」
自動車はラッパを鳴らしながら、或停車場へ横着けになった。
僕は或理髪店の主人に別れ、停車場の中へはいって行った。すると果して上り列車は二三分前に出たばかりだった。
待合室のベンチにはレエン・コオトを着た男が一人ぼんやり外を眺めていた。
僕は今聞いたばかりの幽霊の話を思い出した。が、ちょっと苦笑したぎり、
とにかく次の列車を待つ為に停車場前のカッフェへはいることにした

芥川 龍之介
(1892年〈明治25年〉3月1日 -1927年〈昭和2年〉7月24日)
代々江戸城の茶室を管理し、将軍や大名に茶の接待をする「奥坊主」と呼ばれる職を務めた家柄に育ち、文芸や芸事への興味・関心を早くから持っていた芥川龍之介。
才気にあふれ、世話好きな性格は周りの人々を惹きつけ、たくさん悩みながらもよく笑い、よくしゃべる人だったそうです。
そんな芥川は、東京帝国大学に入学した翌年、高校の同級だった久米正雄らと共に第三次「新思潮」を創刊し、小説や翻訳を発表しました。
次いで第四次「新思潮」を創刊の際に掲載した『鼻』が夏目漱石に認められ、文壇に登ることとなりました。
その後新聞社に入社し、記者としてではなく専業作家として意欲的に執筆活動を続けました。
芥川は、漱石や森鴎外から文体や表現の影響を受けたり、キリシタンもの、江戸を舞台にしたものなど題材に応じて文体を変えたりと、意識的な小説の書き方をしていました。
また、鈴木三重吉により創刊された児童雑誌「赤い鳥」には、初となる童話作品『蜘蛛の糸』を発表、その後も同雑誌を中心に童話作品を相次いで発表し、幅広く作品を世に残しています。
©2022 PanRolling

歯車に寄せられたリスナーの声

総合評価
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ナレーション
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ストーリー
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遺稿の1つの作品

とても暗い、憂鬱なお話。
義兄が亡くなり、自分にも死が迫ってきているのではないかと不安になる主人公。
芥川龍之介の自殺の前に書かれていた作品なので、芥川の抱えている問題にも触れられるのではないかと思い、聴いていました。
雰囲気のあるナレータさんの読みがすばらしかった。

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暗い雰囲気


私は、暗くてじめじめしたお話が好きなので良かったと思いました。最後の部分が本当に胸に迫るものがあり、こんな文章で作品を締めくくる芥川龍之介のことが好きになりました。
他の作品も聴いてみたいです。

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世界観に惹きつける感じがすごい

芥川の私小説作品というだけあって、おそらく生前に似たような苦しみの中にいたのだろうなと。

死が自分に迫ってくるような様々な表現が印象的でした。

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極限まで追い詰められている時の景色

小説を書く人は、自身の闇まで作品に昇華できるのがすごいなと改めて感じました。

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好きな作品

死を前にした芥川自身の目の前に映る様々なこと。
それが歯車のようにカチカチと合わさるような感覚。
そして死に向っていく…
オーディオブックで初めて聴いたお話ですが、芥川の作品の中でもとても印象深く残り、本でもきちんと読んでみたくなりました。
     

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よかったです

聞けてよかったです。すんなりと世界に入り込むことができました。

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ひたすらに暗い!

芥川死後に出された作品ということもあってか、作者の心の中を見ているようで、苦しくなる。
ある意味、傑作ですね。

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芥川の見えていたものなのか?

芥川龍之介が自殺する前に書いた小説だそうで、主人公と芥川をダブらせてしまいます。なんとも言えない死への不気味さが溢れていて…、芥川にも歯車の幻影が見えていたんでしょうか。

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