• ep42-1 「命を結ぶ」「それでもなぜトランプは支持されるのか」/今さらながら、初代ポケモン見てます
    2025/04/18

    どうも、ホシノです。今回は軽く振ってみたポケモンの話が意外と膨らんでしまいました。長寿アニメの初代シーズンを息子と見始めたら、自分のほうがハマりかけています。コロコロコミックセンスというんでしょうか。あの「ザ・ギャグ漫画」展開、あなどれませんね。

    さて、本題の読書紹介、ホシノが取り上げたのは佐藤初女さんの『いのちをむすぶ』。おにぎりを握る人、という印象しかなかったのですが、調べていくと、その背景には人を癒す力や、河合隼雄さんとの意外な接点も。60歳から始めた活動という点にも心を打たれました。

    アワノさんが選んだのは会田弘継さんの『それでもなぜ、トランプは支持されるのか』。アメリカの思想史の流れから、トランプ現象の背景を丁寧に説明し、メディアの印象とは違う景色が見えてきます。あの三宅香帆さんが年末年始に読んだ本として紹介していたのも、読みたくなったきっかけだったそうです。

    トピックの振れ幅は今回も広めですが、一歩ずつ広げていった個人的な活動から紡がれる物語と、世界・歴史の文脈を背景にした大きな物語の対比で見ると面白くなりそうです。

    次回はホシノによる「いのちをむすぶ」から話始めます。また聞いてくださいね。

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    16 分
  • ep41-5「台湾生まれ 日本語育ち」(温又柔さん)/他者理解の線引き問題/「銀の匙」に答えがある?
    2025/04/11

    こんにちは、ホシノです。

    今回も『台湾生まれ 日本語育ち』を入り口にしつつ、とは言え本の内容に直接的に触れるでもなく、「他者理解」などについてアワノさんとじっくり話してみました。

    途中でふと出した「ノーと言われたら、その理由を問え」という交渉学の心得。言葉にするとシンプルですが、実践するのはすごくすごくめちゃくちゃむずかしいし大変。相手の本音はなかなか見えないし、そもそも話を聞くための信頼関係ができてるかどうかもわからない。それでも、理解しようとする努力はやっぱり大事なんじゃないか——そんな話をしました。

    途中、『銀の匙』やリチャード・ローティの話も出てきて、「我々ってどこまで?」とか「理解ってどこまでできるの?」みたいな問いにも触れています。

    19歳の頃に考えていた「大人とは?」なんて話も、ちょっと恥ずかしいですが出てきます。

    今回もわりとゆったり、でも大事なテーマでお送りしています。

    永井玲衣さんの『世界の適切な保存』と、温又柔さんの『台湾生まれ日本語育ち』をテーマにお話する41シリーズも今回で一旦一区切り。次回はまた新しい本を扱ってお話していきたいと思います。ぜひまた聞いてくださいね!

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    25 分
  • ep41-4 「台湾生まれ 日本語育ち」(温又柔さん)/台湾のおじいちゃんに聞いたお国の歌は「君が代」?
    2025/04/04

    こんにちは、ホシノです。

    今回は温又柔(おんゆうじゅう)さんの『台湾生まれ 日本語育ち』について、ホシノから話題提供させていただきました。タイトルからしてすでに引っかかるというか、「育ち」が「日本」じゃなくて「日本語」なんですよね。その時点で、言葉ってただのコミュニケーションツールじゃなくて、アイデンティティや人格の形成にも大きな影響を与える環境そのものになっているなぁと感じておりました。

    読んでみた最初の印象で言えば、知らない世界が随分あるな、ということ。たとえばある台湾のおじいちゃんに「台湾の歌って何?」って聞いて、帰ってきた答えが「君が代」だったとか。自分の「普通」が誰かにとっての「違和感」だったり、「正しさ」の基準が場所や文化でこんなに変わるのかって、しみじみ考えさせられました、月並みですけど。

    ちなみに、ヤドカリが透明な東京の街を背負ってる表紙もおもしろいので、ぜひそちらにも注目してみてください。

    次回は「自分の普通を相手に当てはめない話し方」について、もう少し深掘っていく予定です〜。盛り上がるか不安ですが、聞いてみてくださいませ。

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    19 分
  • ep41-3 「世界の適切な保存」(永井玲衣さん)/「適切な保存」とは?どもりと原稿書けない病の共通点
    2025/03/28

    こんにちは、ホシノです。

    今回もアワノさんと一緒に、永井玲衣さんの『世界の適切な保存』について話しています。

    タイトルにある「適切な保存」ってなんなんだろう?という問いから、話はどんどん奥深いところへ。

    数値では語れない感覚。

    記録されにくい弱さや揺らぎ。

    誰かの人生にとってはかけがえのなかった「あの瞬間」。

    そういうものを、どうやって世界に残していけるのか。あるいは、それって本当に「残す」ことなのか?なんて、アワノさんとあれこれ言葉を探しながら語りました。

    途中、「書けない原稿」の話になったり、「ドモること」と「伝えること」の話になったりもしてます。ホシノとしてもちょうど今悩んでいるタイミングで、ちょっと沁みました。 

    「しかし、あのアワノさんがよくこの本選んだな」と、改めて思っています。ちなみに収録後に自分でも買って読んでみましたが、自分が理解していたよりも広く深いお話が書かれていて、「また自分は浅い理解でわかったふりをしていたな」と何度目かになる反省をしております。

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    18 分
  • ep41-2 「世界の適切な保存」(永井玲衣さん)/「自然主義的誤謬」・詩的な力・写経しながら涙をこぼしたアワノさん・
    2025/03/21

    こんにちは、ホシノです。今回は永井玲衣さんの『世界の適切な保存』についてアワノさんが感じたことをお話いただく回。青山ブックセンターの思想系ランキングでも上位に入っており、気になっていた方も多い本なのでは。

    最初にアワノさんが紹介してくれた「夏だから」という章では、「一見すると論理的に誤っていそうな主張や“弱い言葉”にも、その人だけの背景や固有の気持ちがある」と書かれているそう。たとえば、「夏は暑い。だからそのままであるべきだ」という“自然主義的誤謬”と呼ばれる論理の飛躍を、ただ「間違い」と切り捨てるのではなく、その奥の「なんでそう思うのか」をいっしょに見つめるわけですね。

    また、「伝えることは、本質的に相手の領域へ踏み込むことなんだ」という考え方についても紹介しています。ここを読み解くために、実際に文章を「写経」のように手で打ち込みながら読んでいたアワノさん。なんと途中で涙がこぼれたとか。「こんな自分でも心がやわらかくなる」と言っていました。

    最後は、その場限りで消えてしまいそうな“小さな言葉”を、哲学や詩人はどう扱うかという章について。言葉とその言葉が生まれた背景となる感情や関係を含めて永井さんは「適切に保存したい」と書かれています。

    いわゆるロジカルな哲学とは少し違うアプローチで、人の言葉をすくい取っていく。いつもとは少し違った「読書の時間」になるかと思います。次回の収録では、さらに細かい章や詩の紹介がありますので、楽しみにしててくださいな!

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    24 分
  • ep41-1 「世界の適切な保存」「台湾生まれ、日本語育ち」/四十路との話題は健康法がおすすめ
    2025/03/14

    どうも、ホシノです。収録日に確認してみたら、なんと番組の総再生数が2万回を超えていました。素直に嬉しいですね。毎回聞いてくださる方、一度でも再生してくださった方、本当にありがとうございます。もし街で声をかけてもらえたら、ぜひお礼をさせていただきたいくらいです。

    冒頭、少し健康の話で盛り上がりすぎた感はありますが、今回は2冊のエッセイをご紹介します。一冊目はアワノさんのセレクトで、永井玲衣さんの「世界の適切な保存」。言葉や世界との向き合い方を深掘りしている作品です。哲学と詩の交わりが気になる方にはとても魅力的に映ると思います。

    ホシノが選んだのは温又柔(オンユウジュウ)さんの『台湾生まれ、日本語育ち』。海外生まれで日本語を身につけた方が、複数の言語を行き来するとき、どう思考やアイデンティティに影響があるのかを綴ったエッセイ。

    次回からはもう少し詳しく内容を掘り下げていく予定です。


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    18 分
  • ep40-4「検証 ナチスは『良いこと』もしたのか」(小野寺拓也さん・田野大輔さん)/中二病的な反発心や他とは違うアピール・大きな目標を持った大きな勢力にどう対抗するか
    2025/02/18

    「アワノトモキの読書の時間」、ホシノです。前回に引き続き、小野寺拓也さん・田野大輔さんの『検証 ナチスは『良いこと』もしたのか』2回目です。

    今回のポイントは、よく耳にする「ナチスにも良い面があったんじゃないか?」という言説は、実は中二病的な反発心や「他の人が気づいていないことを自分は知っている」という欲求からくるんじゃないか、という著者たちの指摘です。

    本の構成としては、ナチスが政権を握るまでの経緯から、国民の支持率や政治的な妥協の産物としてヒトラーが台頭していった流れなどを解説しつつ、「経済回復」「労働者保護」「家族支援」「環境保護」「健康推進」などナチスが評価されがちな要素を一つひとつ検証していく流れです。

    たとえ「部分的に福利厚生らしきことをしていた」としても、実際にはユダヤ人や外国からの労働者には強制的に妊娠を中絶させるなど、致命的な差別や迫害を行っていた事実を見落とすわけにはいかない。

    また、本の中では「発信する際にはまず事実を確認し、文脈を踏まえて解釈し、最後に(ようやく」自身の意見を出す」というステップが大事だと説かれています。でも、「ナチスは良いことをした」と語る人たちは、大抵文脈や全体像を踏まえた検討をすっ飛ばして結論(意見)だけを先に言ってしまう。その危うさが改めて浮き彫りになる内容でした。

    番組の後半では、こうした「発信の仕方」や「情報の受け取り方」の難しさについて、マスメディアとSNSのあり方やAIを使った情報収集の話に脱線しながら、いろいろ雑談しています。SNSやAIが発達する一方で、情報や発言が偏りやすかったり、真偽を検証しにくい状況になっていることもあって、結局何をどうインプットし、どう解釈して発信するかがますます重要だなと実感する回でした。

    次回はまた別のテーマやアイデアを深掘りしていきたいと思います。では、また「アワノトモキの読書の時間」でお会いしましょう!


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    11 分
  • ep40-3「ナチスは『良いこと』もしたのか」(小野寺拓也さん、田野大輔さん)/フォルクスワーゲンは国民向けの福利厚生から生まれた
    2025/02/14

    「アワノトモキの読書の時間」、ホシノです。今回取り上げたのは、小野寺拓也さん、田野大輔さんの『検証ナチスは『良いことも』したのか』。結論から言うと「ナチスは良いことなんてしていない」。かなりストレートなテーマですが、だからこそ改めて知っておく必要がある内容だと感じました。

    110ページほどの軽めなボリュームではあるものの、ナチス研究を専門にする著者たちが、一般向けにわかりやすくエッセンスをまとめてくれている内容。ちなみに、フォルクスワーゲン(Volkswagen)が実はナチス時代に「国民向けの福利厚生」の一環として誕生したという話はそそりましたね。

    ヒトラーの宣伝の上手さとか国民からの支持にまつわるイメージは強いものの、実は支持率が過半数を取れず、いろんな政治的妥協の産物としてヒトラーが政権を握るに至った経緯など、知っているようで知らない視点がいろいろある様子。

    ナチスが生まれる当時の歴史的文脈や政治状況を考えると、今の日本だって似たようなことが起こり得るかもしれない。だから歴史研究者が果たす「事実を文脈に位置づけて提示する」っていう役割が重要だと、この本でも強調されています。実際、社会への不満や正しさへの反発が強いと、「もしかしたらナチスもいい部分があったんじゃないか」なんて意見が出てきがちですが、「いやいや、いいことなんてしていない」という結論が揺らぎようもないことを教えてくれそうです。

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    11 分