障子
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ナレーター:
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遠藤
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著者:
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山本 周五郎
このコンテンツについて
山本周五郎は「文学には“純”も“不純”もなく、“大衆”も“少数”もない。ただ“よい小説”と“わるい小説”があるばかりだ」を信念とし、普遍妥当性をもつ人間像の造形を生涯の目的とした作家で、時代小説を中心に沢山の作品を残しています。
その作風は今なお古臭さを感じさせず、繊細に描かれた人の心の機微や人情に、思わず笑わされたり、胸を打たれたりする魅力に溢れています。
<あらすじ>
幕府のために働く兄・東湖を陰ながら支える妹・かの子。女としての自分の幸せをなおざりにし、懸命に家を支えるかの子に直二郎は求婚するが断られてしまう。しかし、直二郎の求婚を断った翌日、かの子は家の障子の桟に張られていた紙を、横一列すっかり剥ぎ取ってしまう。障子の桟に空いた穴の意味に気づいた母・梅子はある行動に出るのだった。
言葉にしなくてはわからない気持ち。言葉にしなくても伝わる想い。あなたは気づくことができるでしょうか?©2020 PanRolling
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お秋は村次とは腐れ縁だった。十八の頃に出会ってからはや九年、仕事がものになれば、お秋を苦界の商売から足を洗わせてやる……何度もそう言われ続け、お秋は彼との縁を切れずにいた。その一方で船宿の船頭である藤吉には強く思いを寄せられ、一緒になろうと迫られていたが、村次のこともあり、お秋は断り続けていた。
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新吉は「やなぎ屋」という、愛想のないじいさんが店主の飲み屋にしばしば通っていた。酒も肴も安いだけが取り柄で、決して美味くなく、常連の付きにくい店であったが、勝手に酔うことが出来る気楽さもあって、新吉は酔いたい時に「やなぎ屋」に通った。
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