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  • 著者: 島崎 藤村
  • ナレーター: 宮負 潤
  • 再生時間: 2 時間 39 分
  • 4.3 out of 5 stars (6件のカスタマーレビュー)

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あらすじ・解説

島崎藤村(本名春樹)は、明治学院在学中にキリスト教に入信し、西洋文学に影響を受け、北村透谷らと雑誌「文学界」を創刊しました。それまでの和歌や俳句などの定型詩や漢詩とは異なる新しい文体の詩人として出発し、近代詩を確立していきました。その後、小説執筆へと転じ、あるがままの現実を描き、且つ人間の内面を正直に描くという、写実主義と浪漫主義の両方を併せ持った自然主義文学の代表的な作家となりました。

また、在籍期間は短かったものの、東京音楽学校にてヴァイオリン、ピアノ、コーラスを学んだという経歴も持っており、音楽に関する知識も豊富だったことがうかがえます。出会った人物から様々な影響を受け、新しいものに対する情熱と探求心を常に持ち、それが創作の糧となっていたのでしょう。

1913年から3年間渡仏した際には、日本に残してきた4人の子どもたちに土産話として聞かせるために童話集をまとめており、たくさん版を重ねていることから、いかに読まれてきたかをうかがい知ることができます。

子供らは古い時計のかかった茶の間に集まって、そこにある柱のそばへ各自の背丈を比べに行った。次郎の背の高くなったのにも驚く。家じゅうで、いちばん高い、あの子の頭はもう一寸四分ぐらいで鴨居にまで届きそうに見える。毎年の暮れに、郷里のほうから年取りに上京して、その時だけ私たちと一緒になる太郎よりも、次郎のほうが背はずっと高くなった。
茶の間の柱のそばは狭い廊下づたいに、玄関や台所への通い口になっていて、そこへ身長を計りに行くものは一人ずつその柱を背にして立たせられた。そんなに背延びしてはずるいと言い出すものがありもっと頭を平らにしてなどと言うものがあって、家じゅうのものがみんなで大騒ぎしながら、だれが何分延びたというしるしを鉛筆で柱の上に記しつけて置いた。だれの戯れから始まったともなく、もう幾つとなく細い線が引かれて、その一つ一つには頭文字だけをローマ字であらわして置くような、そんないたずらもしてある。
「だれだい、この線は。」
と聞いてみると、末子のがあり、下女のお徳のがある。いつぞや遠く満州の果てから家をあげて帰国した親戚の女の子の背丈までもそこに残っている。私の娘も大きくなった。末子の背は太郎と二寸ほどしか違わない。その末子がもはや九文の足袋をはいた……
©2022 panrolling

嵐に寄せられたリスナーの声

総合評価
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ほっこりした


父親が子供に向ける愛情とともに、家など身近なものに親しみと愛を持っている様子が温かいなと思いました。

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連続ドラマを見てるかんじ

壮絶な時代背景のなかにも、温かい家族愛を感じる作品でした。

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この時代には珍しい

家事育児をする父親というのは珍しい気がしました。この時代は亭主関白な人が多い気がするので…
ほっこりしたお話で面白かった。

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よかったです

聞けて本当によかったです。作品に入り込むことができました。

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とても心温まるお話

父の目線から子どもたちの成長の過程を書いた作品で、自分も子どもを持つ親として触れておいて良かったと思いました。
「子どもはいつも新しい」という一節が自分の中に残りました。
自分の子どもはまだ小学生だけど、大人になるにつれてこのお話を思い出すと思います。

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