雪の上の霜
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ナレーター:
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西村 俊彦
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著者:
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山本 周五郎
このコンテンツについて
映画化されたことで有名な『雨あがる』の続編。
浪人三沢伊兵衛の妻おたよが旅先で倒れてしまう。療養費を稼ぐために荷物運びの仕事をしていたところ、槍術家の小室青岳の目に留まり――。
<山本周五郎(やまもと・しゅうごろう)>
1903年、山梨県生まれ。横浜市の西前小学校卒業後、東京木挽町の山本周五郎商店に徒弟として住み込む。1926年『須磨寺附近』が「文藝春秋」に掲載され、文壇デビュー作となった。『日本婦道記』が1943年上期の直木賞に推されたが、受賞を辞退。1967年2月14日没。享年63歳。Public Domain (P)Roundemy Co., Ltd.
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一人の若侍が練り馬場と呼ばれる草原へ入って来た。しかし、七つの鐘を聞いて起きてきたはずの彼であったが、間もなく七つの鐘が鳴り、刻を間違えたことを悟った。約束の六つ半まで三時間あるが、辺りは酷く寒い。川岸をしばし歩いた彼は、橋の下に焚火が燃えていたのを目にした。近付いて見ると、「夫婦乞食」と呼ばれている老夫婦が鍋を掛けており、「よろしかったら、こちらへ来ておあたりになりませんか」と声を掛けられた。
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