『幸田露伴「五重塔」』のカバーアート

幸田露伴「五重塔」

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幸田露伴「五重塔」

著者: 幸田 露伴
ナレーター: 岩渕 柾志
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このコンテンツについて

明治の文豪、幸田露伴の代表作。リズム感のある文体が特徴。

職人としての腕はいいが、世渡りが下手で大きな仕事を任せてもらえない十兵衛。
愚鈍な様から周囲からは「のっそり」とあだ名をつけられていた。

しかし、谷中の感応寺に五重塔が建立されると聞き、なんとしても自分が普請を手掛けたいと思い、朗円上人の元へ頼みに行く。

十兵衛の造った見事な模型に感服した上人は、それだけの腕をもちながらの今の境遇に同情する。

本来ならばこの普請は感応寺の御用を務める源田が請け負うところで、源田は名人と名高く棟梁としても人望の厚い男だったが、上人は二人を呼びこの仕事をどちらが請け負うか話しあうように言う。

源田は二人で建てようと十兵衛に提案するが、十兵衛はその申し出を断るのだった。

目次
其一
其二
其三
其四
其五
其六
其七
其八
其九
其十
其十一
其十二
其十三
其十四
其十五
其十六
其十七
其十八
其十九
其二十
其二十一
其二十二
其二十三
其二十四
其二十五
其二十六
其二十七
其二十八
其二十九
其三十
其三十一
其三十二
其三十三
其三十四
其三十五©2023 PanRolling
文芸小説

幸田露伴「五重塔」に寄せられたリスナーの声

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情熱を燃やす


ザ職人って感じの十兵衛を応援したくなる気持ちもありつつ、譲ってくれた源太と取り成してくれた上人の懐の深さが素晴らしいと思います。

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時代が変遷しても変わらぬ日本人の心

愚鈍的な性格から世間から軽んじられながらも、得意とする建築の世界に閉じこもって、見事な建造物の制作を夢見る「大工の十兵衛」、建築に関する豊富な技量と部下の気持ちを顧慮し、且つ目上の思案も充分斟酌した上で行動する川越の「大工の棟梁源太」、そして人心を理解し、人夫々が和の共同体のなかで生甲斐を以って日々を過ごせるよう宗徒を導く感応寺の「朗円上人」の三名が中心になって織り成す小説である。観応寺が計画する五重塔の建設は当初から源太が遂行する予定であったところ、十兵衛が百年に一度あるかないかの大事業を是が非でも自分にやらせて欲しいと朗円上人に頼み込む。源太は自らが主、十兵衛は従の形で進めようと提案するも、十兵衛は共同作業になるなら自分は身を引くと言い出す。最終的には、源太が下りて十兵衛に五重塔の大事業を遂行させることになる。朗円上人は、十兵衛に花を持たせた源太の態度が塔を建てる以上の立派なことだと褒める。一方、十兵衛は他人の心を汲むよりも職人としての構想や技術を満たそうとする態度に終止する。

塔が完成する迄の間に、源太に仕える大工たちが親分の顔を貶したとして十兵衛を襲い、片方の耳を切り落とす等の暴力沙汰を引き起こす。が、十兵衛は休まず仕事場に出かけた。落成式を前に暴風雨が江戸の多くの建物を倒壊させる等の大被害を生じさせたが、五重塔は一寸一分の歪みも無かった。朗円上人曰く、「江戸の住人十兵衛これを作り、川越の源太これをなす」。

本小説は、江戸時代の人々の生き様が未だ残る1892年(明治25年)に世に出た。それから約130年経った現在においても、十兵衛(周りには無頓着のまま、職人としての技を以って難事業を遂行することに全生命を賭す生き方)、源太(他の人々との共存共栄を通して、結果的に豊かな人間性を涵養する生き方)、朗円上人(人を生かす導き手としての生き方)夫々の生き方は全く色褪せておらず、まるで現代小説の登場人物の如くである。文献によると幸田露伴は、元禄期の井原西鶴に影響を受け、漢語を駆使した豪快な作風の小説を書き、雅俗折衷体を用いた「擬古典主義」の作家として名声を博したとある。今回、この小説を3時間44分のAudibleで聞いた。声優の声を通して、漢語文体に由来する豪快な音の強弱と雅俗折衷体が醸し出す流れるようなリズム感を楽しむことができた。そして、最初から最後まで次にどのような展開が待ち受けているのかとハラハラ感を抱きながら楽しく聞き通すことができた。

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不器用な熱意が胸を熱くする

なにやってんだよ、十兵衛!

…と思ってしまう事もあるが物語が進むにつれ十兵衛を応援している自分がいました

こういう熱くて不器用な人間最近ではあまり見かけなくなりましたね

こういう人間、嫌いじゃないなぁ

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